その日の夜、禰豆子が見た夢は、悪夢でしかなかった。
夢であるのだという事は頭ではわかっているのに、まるで本当にその場にいるかのように血の匂いが禰豆子の鼻を強く刺激した。
この景色は、禰豆子もよく知っているはずなのに、まるで知らないような場所に思えてしまう程、寒々しく感じられた。
大好きな人の悲痛な叫び声が禰豆子の耳を貫く。
大好きな兄の声が……。

――――……どうして……こんなひどい事をっ!!
――――どうして、だと? そんな事、決まっているではないか? 炭治郎、お前を私のモノにする為だよ。それには、彼らが邪魔だったんだ。

誰かが兄と――炭治郎と話をしている。その声は、酷く静かなものだった。
顔はよく見えなかったが、声からして、相手が男である事は禰豆子にも理解できた。
そして、この人物からも何とも言えない腐臭の匂いが漂ってくる。

――――……さぁ、行こう、炭治郎。そして、また――。
――――ふざけるなっ! 誰がお前なんかと一緒に行くものかっ!!
――――炭治郎。何をそんなに怒っているのだ? お前……私の事を憶えていないのか?
――――知らないっ! 俺は、お前みたいな……人殺しなんか…………知らないっ!!

炭治郎がそう言った瞬間、男が息を呑んだのが禰豆子にも伝わってきた。

――――……まさか……本当に憶えていないのか? ……あの日の事も何もかも全てを……? まさか……あの鬼狩りの剣士と一緒にいたせい? 何処まで奴らは私の邪魔をすれば、気が済むというのだ?
――――お前、何をさっきから訳の分からない事を言っているんだっ! それに、義勇さんの事を変に悪く――っ!!

炭治郎が言い終わるよりも早く、男が近づき、物凄い勢いで炭治郎の事を押し倒した。
そして、そのまま炭治郎の両腕を掴んで逃げられないよう、拘束した。

――――駄目だよ、炭治郎。私以外の男の名前をそんなに愛おしそうに呼ぶのは……。これは、少し、お仕置きが必要かもしれないなぁ……。
――――っ!!

そう言った男の声は、酷く静かなものだったが、それを聞いた禰豆子自身、思わず背筋が凍りつくような感覚に襲われた。
男は、炭治郎を掴んでいる手の力を強めたのか、炭治郎の顔が苦痛で歪んだ。

――――なら、教えてあげよう。私の名前を……。そして、お前が誰のモノなのかを……。なに、時間はたっぷりある……。
(ダメ! お兄ちゃんっ!!)

そう言って男の唇が炭治郎の顔へと近づいたのが見えた瞬間、禰豆子は思わず走り出した。
だが、それと同時に禰豆子は目を覚ましてしまうのだった。


~どんなにうちのめされても守るものがある~


「……はぁ……はぁ。……な……に? さっきのは……本当に……夢?」

目を覚ました禰豆子の息は荒く、汗もかいて気持ちが悪かった。
あんなにも現実的な夢を見る事などあり得るのだろうか?
さっきからずっと嫌な予感しかしなかった。
禰豆子は、布団から出ると窓を開けて外の様子を確認した。
外はまだ、朝日があがっていないのか、夜は明けていなかった。

「…………行かなくちゃ」

そう無意識のうちに呟きながら、禰豆子は外を目指して扉へと歩き出した。
今すぐ、ここを出なければ、いけない。
そうしなければ、家族にもう二度と会えなくなる。
そう直感したから……。

「…………禰豆子? お前、何しとる?」

だが、禰豆子のその動きで、三郎爺さんも起きてしまった。
そして、禰豆子が外に出ようとしている事に気付き、慌てて止めた。

「お前! まだ、夜が明けとらんだろ!? 外に出たら、危ねぇ!!」
「分かっていますっ! でも、今すぐ、家に帰らないと……ごめんなさいっ!!」
「ねっ、禰豆子! 戻って来いっ!!」

必死に引き止めようとする三郎爺さんの手を振りほどき、禰豆子はそのまま勢いよく三郎爺さんの家から飛び出していった。
そして、背後から聞こえてくる三郎爺さんの声にも応える事もなく、自分の家を目指して山へと走った。

(早く……行かないとっ!!)

あんな夢を見るなんて偶然なはずががない。
何かが自分に警告しているのだ。
そう信じて禰豆子は、ひたすら山道を駆けていくのだった。





* * *





「……うそ……でしょ?」

そして、自分の家に辿り着いた禰豆子は、愕然とした。
そこに広がっていた光景は、夢で見たものより遥かに酷い光景だった。
辺りには、嫌という程、血の匂いが漂っていた。
そして、家の中には無残にも荒らされていた。

「……お母さん? 花子、竹雄、茂……六太まで!?」

家族だったはずの人たちは皆、無残な姿に変わり果てていた。
一体、誰がこんな酷い事を……。

――――……幸せが壊れる時には、いつも血の匂いがする。だから、兄ちゃんは、この匂いが一番嫌いなんだ。
(お兄ちゃん……)

ふと、頭に浮かんだのは、いつかの兄の言葉だった。
そして、この家の中に兄の姿がない事に禰豆子は漸く気が付いた。

(お兄ちゃんは……まだ……生きてる?)

そして、思い出したのは今朝夢で見た光景だ。
あれが本当にここで起こったことなら、兄は誰かと話していた。

「どこ……お兄ちゃん……何処!?」

禰豆子は炭治郎の事を捜す為、すぐさま家を飛び出した。
雪が降っていた山道には、人の足跡は殆ど残っていなかった。
この状況から考えらえる事は、兄はこの山道を使わずに違う場所へ逃げたか、或いはもうとっくにこの山道を使って下りてしまったかだった。
考えた結果、禰豆子は山道とは違う所を捜し始めた。
自分の兄の性格を考えると他人に危険が及ぶような行動はとらないと思ったからだ。
そして、禰豆子のその判断は正しかった。
山道からか外れて歩いていくと、人の足跡を見つけた。
禰豆子はその足跡を頼りに山の中を進み始めた。
すると、足跡が続く方向から徐々に人の匂いを嗅ぎ取れるようになってきた。
これは、きっと兄の匂いに違いない。
そう思うはずなのに、何故だか禰豆子はそれを確信する事が出来なかった。
それは、この匂いがいつもの兄のものと若干違っているように感じてしまったからだった。
それに加えて、禰豆子の判断を迷わせたのは、この足跡だった。
初めのうちは、大きかった足跡が奥に進むにつれて小さいものへと変わっていったのだ。
それが一体に何を意味しているのか禰豆子にはわからなかったが、この場では深く考える事はしなかった。
それよりも一刻も早く兄の事を探し出す事の方が今の禰豆子には重要だったからだ。
その為、禰豆子は、この匂いを頼りに山の中を進んだいった。

(…………あれは……お兄ちゃん!? そして、あれは……誰?)

雪に足をとられながらもなんとか進んでいくと禰豆子は、二つの影を見つけた。
一つは、市松模様の羽織を着ている影。
おそらく、それが兄――炭治郎に違いない。
そして、もう一つは……。

「……もう、この耳飾りは、お前には必要ない。…………鳴女」

そう男の声が聞こえた瞬間、炭治郎らしき影の耳から何かが飛び散ったのが禰豆子には見えた。
そして、辺りに琵琶の音がべべッと鳴り響いたかと思った瞬間、その二つの影は跡形もなくその場から消えたのだった。
そう、禰豆子の目の前で……。

「お兄……ちゃん……?」

一体、自分の目の前で何が起こったのか、禰豆子にはすぐに理解する事が出来なかった。
だから、恐る恐る、先程まで炭治郎らしき人影がいた方向へと歩みだした。
そして、その場に落ちていたものが何だったのかを確認した時、禰豆子は愕然とした。
それは、日輪の耳飾りだった。
兄が父から譲り受けたもので、彼が普段から身に付けていた耳飾りだった。
この耳飾りだけは、決して見間違えることはなかった。
これがここに落ちているという事は、やはりあの影は兄だったのだ。

「お兄ちゃん……どこ? ……さっきまで、ここにいたはずなのに……」

そして、落ちていたその耳飾りを拾った禰豆子は、辺りを見渡し、兄の姿を捜した。
だが、あるのは白い雪だけで、兄の姿は何処にもなかった。

「ねぇ、お兄ちゃん……。返事してよ……お兄ちゃんまでいなくならないでよ! お兄ちゃんってばっ!!」

いくら禰豆子がそう呼びかけてもそれに応える者は誰もいなかった。
その事実に禰豆子は、その場で泣き崩れるしかできなかった。
その原因を作ってしまったのは、他ならぬ自分のせいだと思ったから……。
自分がもっと早く気付いて家に帰っていたら、こんな事にはなっていたかもしれない。
兄を、炭治郎を目の前で連れ去られる事も……。
その後悔だけが今の禰豆子の心を支配し、涙を流し続けるのだった。





* * *





「禰豆子!!」
「っ! ……冨岡さん?」

そして、それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
次に禰豆子の意識がはっきりした時には、よく見知った顔が禰豆子の事を心配そうに見つめていた。
それは、冨岡義勇だった。
彼は、用事を済ませて本当にここに戻って来てくれたのだった。
そんな彼の姿を見た瞬間、禰豆子の瞳から再び涙が溢れだしてきた。
あれほど泣いたというのに、まだ涙は枯れていなかった。

「…………と……冨岡さん……どうしよう。……私のせいで……っ」
「……何があった?」
「…………わかりません」
「わからない?」

義勇の問いに禰豆子は、そう首を振って答えた。
それを見た義勇の眉が微かに動いたのが禰豆子には見えた。

「……私……昨日、お兄ちゃんの代わりに町に炭売りに行ったんです。……お兄ちゃんが……風邪をこじらせちゃったから……」
「炭治郎が……風邪を……」
「だから私……お兄ちゃんの薬を買ってから家に帰ろうとしたら、遅くなちゃって……三郎お爺ちゃんのお家に泊めてもらって……帰ったら……っ!」

それでも何とか自分が知っている事を義勇に伝えようと禰豆子は口を動かした。
だが、先程見た無残な家族の姿の事を思い出し、また言葉に詰まってしまった。
それに義勇も気付いたのか、そこについては特に深く問い質してくる事は決してしなかった。

「禰豆子。炭治郎は、何処だ? 炭治郎は……アレを持っているんだろう?」
「!!」

だが、次に義勇が口にした言葉に禰豆子の表情は凍り付いた。
義勇の言っているアレが何なのか、禰豆子にはすぐに理解できたから……。
それは、藤の花の香り袋の事だ。
彼がここを一度離れる前に兄に渡していた……。
そして、禰豆子の表情を見た義勇は、不思議そうな表情を浮かべた。

「……禰豆子?」
「…………ごめんなさい。私の……せい……です」
「どう……いう――」
「お兄ちゃんは、冨岡さんからもらった香り袋を持っていないんですっ! 私が山を下りる時に……渡してくれたからっ!!」
「!?」

そして、その禰豆子の言葉を聞いた瞬間、義勇が激しく動揺した。
彼は、兄が香り袋を持っていると思っていたから、ある程度余裕でいたのかもしれない。

「私……お兄ちゃんの匂いを辿ってここまで来たんです。そしたら……これが……」
「!?」

禰豆子はそう言いながら、それまで握りしめていた両手を恐る恐る広げてその中にある物を義勇に見せた。
それを見た義勇が息を呑んだのが禰豆子にも伝わってきた。
禰豆子が義勇に見せた物は、さっき見つけた日輪の耳飾りだったからだ。

「……私がこの近くに来た時、まだ、誰かがここにいたんです! そして、お兄ちゃんのこの耳飾りが吹き飛ぶのをこの目ではっきり見ました」

この事実だけは、ちゃんと伝えないといけない。
これは、私が犯してしまった過ちでもあるのだから……。

「間違いないです。……お兄ちゃんは……誰か攫われたんですっ!!」

その言葉を義勇についた得た禰豆子の声は震えていたかもしれない。
私は、約束を守る事が出来なかった。
兄を――炭治郎の事を守る事が出来なかったという事実を……。

「…………禰豆子。ここは、危ない。とりあえず……家に戻ろう」

そう義勇が口を開くまでに一体どれだけの時間が過ぎただろうか。
きっと、彼もその事実に絶望しているはずなのに、それでも禰豆子の事を気遣ってくれている。

「えっ? でも……」
「それに、六太達をずっとあのままにしておくのは、よくない……だろ? ……一緒に弔ってやろう」
「…………わかりました」

その義勇の言葉を聞いて禰豆子は、漸くその場から動く決心がつき、腰を上げた。
そして、再び家に戻るとそこにあったのは、変わり果てた家族の姿。
やはり、これは現実に起こった事なのだと改めて実感させられた。

「……禰豆子。……大丈夫か? 辛いなら……俺独りでやる」
「いいえ……大丈夫です」

そんな禰豆子の様子に気付いた義勇はそう言ったが、禰豆子は首を振った。
ちゃんと自分の手で埋葬してあげたいと心から思ったから……。
それにここに兄が――炭治郎がいたのなら、きっと同じようにしたに違いないと思ったからだ。
こうして、二人は黙々と禰豆子の家族を庭に埋葬していった。

「…………炭治郎を連れ去った犯人。……それは、おそらく……鬼舞辻無惨という男の仕業だ」
「鬼舞辻……無惨……?」

そして、全員の埋葬が完了し、手を合わし終わるとそう静かに義勇は口を開いた。
その聞き覚えのない人物の名に禰豆子は、思わず聞き返した。
それに対して、義勇はコクリと頷いた。

「そうだ……。この世の全ての鬼の始祖であり、最初に鬼になった男だと言われている。……炭治郎が今まで鬼に狙われていたのも……おそらく、そいつの仕業だ」
「! どっ、どうして、そんな奴がお兄ちゃんの事を!?」
「それは、俺にもよくわからない。……炭治郎の血を調べてみたが、稀血じゃなかった」
「……稀血?」
「稀血は、非常に珍しい性質の血液を持った人間の事だ。鬼がその人間を食べれば、普通の人間を五十~百人分喰らっただけの力を得られるらしい」
「っ!!」

その淡々と説明する義勇の言葉を聞いて禰豆子は、思わず息を呑んだ。
鬼が人を喰らう事については、以前にも彼から聞いていた事だったが、やはり何度聞いてもいい気分がしなかった。

「…………とにかく、炭治郎の事は、俺に任せろ。禰豆子は、それをも――」
「嫌です」

義勇が言い終わるより早く、禰豆子はそう言って言葉を遮った。
これ以上、聞かなくてもわかる内容だったからだ。
なので、禰豆子は、首から下げていた藤の花の香り袋を取り出すと、それを義勇へと突き出した。

「私もお兄ちゃんの事を捜します」
「やめておけ。それにどうやって――」
「私は、無惨の匂いを憶えました」

自分の事を止めようとする義勇に対して、禰豆子はそうはっきりと言った。

「あの匂いは、私にとっては、忘れたくても忘れられないくらい腐臭に感じました。私なら、あの匂いを頼りに無惨を見つけられます」
「会ってどうする?」
「もちろん、お兄ちゃんの居場所について問い詰めます」
「無惨がそんなに簡単に見つけられるはずがない。柱であるものですら、今まで無惨の姿を見た奴はいない。それに……」

少し言いづらくなったのか、義勇は一度言葉を区切ると禰豆子から視線を逸らした。
それがわかった禰豆子は、敢えて自分の方から義勇に視線を合わせにいった。

「それに?」
「……炭治郎は……もう……鬼になってしまっているかもしれない」
「!!」

その義勇の言葉に禰豆子は瞠目した。
それは、禰豆子も薄々わかっている事だった。
途中で変化したあの小さな足跡に、いつもとは違う兄の匂い。
それが何を意味していたのか、今ならはっきりと理解できた。
兄は――炭治郎は、もう鬼になってしまっていると事に……。

「……人を鬼に変える事が出来るのは、奴だけだ。そして、鬼になってしまえば……もう人を喰っているかもしれない。……禰豆子。お前は、炭治郎が人を喰っているのを見た時……斬れるのか?」
「! そっ、そんな事――」
「俺は斬る」

躊躇う禰豆子に対して、義勇はそうはっきりと言い切った。

「……炭治郎なら、そんな事……人を喰らう事などは望まない。なら、俺に出来る事は……あいつの頸を斬り落として止めてやる事くらいだ」

そのまっすぐな瞳には、何の迷いも感じられなかった。
本気だ。この人は、本気でお兄ちゃんの事を殺す事を覚悟している。
それは、お兄ちゃんの事が憎くてする事じゃない。
お兄ちゃんの事が好きだから、自分の手で止めようとしているのだと、禰豆子にはわかった。
なら、私には、一体何ができるだろうか?

「…………正直、私には……冨岡さんほどの覚悟は……まだありません」
「だったら、炭治郎の事は、もう……」
「でも! わからないじゃないですか! 例え、お兄ちゃんが鬼になっていたとしても、人を喰うとは限らないじゃないですか! お兄ちゃんは、誰も傷付けないっ! 私は、それを信じたいんですっ!!」

それは、ほぼあり得ない事かもしれない。
だけど、その可能性を捨てたくはなかった。
誰よりも優しいお兄ちゃんだから……。

「そんな事……あり得ない」
「なら、どうして、無惨はお兄ちゃんの事を狙ったの? 稀血でもないのに……。それは、お兄ちゃんが、他の人とは何か違うと感じたからじゃないんですか? だったら……そういう可能性を信じたって、いいんじゃないですか?」
「!!」

そう言った禰豆子の言葉に今度は、冨岡が驚いたように目を見開かせた。

「だから、私は諦めません! お兄ちゃんともう一度会って、この目で確かめるまではっ!」

私は、まだ、諦めたくない。お兄ちゃんの事を信じたい。
大好きなお兄ちゃんだから……。

「…………なら、その為にはまずは力が必要だ。力がなければ何も……守れない」

禰豆子の言葉を聞いた義勇は、何かを決心したのかそう言いながら、何処からともなく紙と筆と取り出すと何かをしたため始めた。
そして、書き終えるとそれを自分の鎹烏に括り付けて、飛ばした。

「……狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次という老人を訪ねろ。俺に言われて来たと言え。……きっと、力を貸してくれる」
「えっ? それって……」
「俺は俺で炭治郎の事を捜す。……禰豆子の言葉を……信じて……。だから、お前はまず……鬼殺隊に入る事を……目指せ……。そして、それまでは、これも俺の方で預かっておく……」

それだけを言い残して義勇は、禰豆子の手から富士の花の香り袋を取るとさっさとその場から立ち去ってしまった。
今の禰豆子に圧倒的に足りていないものは、鬼と戦うの為の力だ。
それを身に付ける為に彼は、私に鬼殺隊に入れと言った。
なら、今の私がやるべき事は、ただ一つだ。
鱗滝左近次という老人と会い、鬼殺隊に入る為に協力してもらう事。
その為に禰豆子は、狭霧山を目指して歩き始めた。
そして、その耳には、兄の耳飾りを付けて……。









守るものシリーズの第12話でした!
そんなこんなで禰豆子ちゃん側での炭治郎君が攫われた場面を書き切って、話を進めることに成功しました!!
多分ですが、義勇さんならこういった覚悟をしちゃうんじゃないかと思って書いています。次回は、鱗滝さんが登場しますっ!!

【大正コソコソ噂話】
炭治郎くんは、幼かった為、無惨様と出会った時の記憶がありませんでした。
誰にでも優しい炭治郎くんにとっては、無惨様との出来事もいつもの日常の一つだったせいかもしれません。



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