彼は叫び続けた。
この声がもう届かないとわかったいたのに。
それでも、気付いて欲しかった。
俺がココにいることに。
彼は最後の力を振り絞り大きな声で叫んだ。
~silent lapse~
(アッシュ!!)
「!!」
アッシュは目が覚めた。誰かが俺の名を呼んでいた気がした。
いや、気のせいじゃない。
はっきりと、あいつの声が聞こえた。
ルークの声が……。
アッシュは急いで部屋を出ると走り出す。
「アッシュ! 何処へ行くのですか!?」
屋敷の入り口ですれ違ったナタリアがアッシュに呼びかけた。
昨日のアッシュが気になり、ナタリアは予定より早くアッシュの屋敷の来たのだ。
だが、アッシュはナタリアの呼びかけに答えず、そのまま走り続ける。
もう、そんな余裕すらアッシュにはなかった。
速く行かなければ……。
あいつが……、ルークのいるあの場所に行かなければ……。
アッシュは、今それしか頭になかった。
「……一体、アッシュはどうしたんでしょうか」
そう呟くと、ナタリアはアッシュが消えていった方向をずっと眺めていた。
* * *
「! アッシュさんじゃないですか! どうしたんですか!?」
ギンジは、驚きながらアッシュに言った。
今まで死んでいたと思っていた人物が、突然目の前に現れたのだから無理もないだろう。
「頼みたいことがある。アルビオールを貸して欲しい」
そんなことは、お構いなしにアッシュはギンジに言う。
「えっ? ……いいですけど。今から出発しますか?」
少し躊躇った様子を見せたが、ギンジは快くそう言った。
「ああ、今すぐだ」
「わかりました。アルビオールはいつでも出発できるように整備してますから。どうぞ、乗ってください」
そう言うと、ギンジはアルビオールへと乗り込んだ。
アッシュもそれに続いて乗り込む。
「ところで、目的地は何処ですか?」
ギンジは、操縦席に座ると言った。
「……エルドラント」
「わかりました。では、出発します」
アルビオールはエルドラントに向かって出発した。
* * *
ギンジをアルビオールと共にエルドラントの入り口に待たして、アッシュはエルドラントの中に入っていった。
目指すは、ルークたちがヴァンと戦った場所。
自分が目を覚ましたら居たあの場所へ。
何であの時に気付かなかったんだろう。
あの時に聞こえた声もきっとルークの声だったに違いない。
ずっと、あいつは呼んでいたのに……。
もっと早く気付いていれば、一緒にバチカルへ帰れたかもしれない。
そして、あの場所に辿り着いた。
そこは、あの時となんだ変わっていなかった。
(どうすれば……)
どうすれば、あそこに行けるんだ?
ルークのいるあの純白の世界へ。
ふと、アッシュは自分の手を見る。
(もしかしたら…………)
アッシュは右手を床につけると力を使った。
すると、一瞬床が光り下へと降下し、暫くすると止まった。
そこに広がっていたのは、夢で見たものとまったく同じ風景だった。
(ここに、ルークがいる……)
『随分、来るのが遅かったな』
「!!」
聞き覚えのある声が、後ろから聞こえてきた。
振り返ると、そこに彼が立っていた。
自分と同じ紅の長髪、翡翠の瞳。
自分より大人びた顔つきをしていた。
『待っていたぞ、アッシュ』
彼はアッシュに歩み寄った。アッシュは彼の名を言う。
ずっと、彼が人から呼ばれてきた名を……。
「ローレライ」
もうすぐです!!
もうすぐ、アッシュとルークが再会しますよ!!
何気にギンジも登場させました。やっぱり、
アッシュが乗るアルビオールを操縦するのはギンジじゃないといけない気がして。
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