何であのとき言わなかったんだ。
傍にいて欲しいと……。

~愛しき人形~

アッシュが行方不明になって五日が経った。
だが、以前としてアッシュは見つかっていなかった。
それを心配してティアたちはルークの屋敷を訪れていた。

「一体アッシュは何処に行ってしまったんでしょう」

不安そうにナタリアが言った。

「……俺のせいだ」
「ルーク?」

ティアはルークを見る。ルークはとても哀しそうな顔をしていた。

「俺があのとき、体調なんか崩さなかったら……」

ルークの声はひどく震えていた。

「過ぎたことを言っても仕方ありません。それより、ルーク」
ジェイドの瞳がルークを映す。

「おそらく彼の見つけることが出来るのは、あなただけだと思います。何か感じませんか?」
「感じるかって、言われても俺からアッシュに繋げないし……」

ルークとアッシュは繋がっている。
同調フォンスロットを開けることで、ルークとアッシュは会話が出来る。
それを利用してアッシュはルークの目を通して周りの景色も見ることが出来るが、ルークからアッシュに繋ぐことは出来ない。
そう思った途端、何かが繋がった気がした。

「!!」
「ルーク?」
ルークの様子にティアが心配そうに話しかけた。

「……フェレス島」
「「「「「えっ?」」」」」

ルークの言葉に全員が驚いた。

「なんでかはわからないけど、そこにアッシュがいる気がする……」

自分でもわからなかった。
でも、アッシュがフェレス島にいるような気がした。

「では、早速行ってみますか」

誰もがルークの言葉に戸惑う中、ジェイドはあっさりと決断した。

「おっ、おい旦那! そんなに簡単でいいのかよ;」

あまりにも、ジェイドがあっさりと決断したのでガイは少し焦った。

「他に手がかりはないですし。それにまだフェレス島は探索していなかったはずですよね?」
「そっ、それはそうだが……」
「だったら、探索するしかないでしょ。それにルークとアッシュは強く繋がっています。そのルークが言ったんですから何かあってもおかしくはないと思いますよ?」
「……わかったよ。たくっ……」

ジェイド言葉に返す言葉が見つからなかったガイは渋々承諾した。

「では、いきますか」

そう言うと、ジェイドはルークの部屋を後にした。
他の仲間もルークの部屋を出て行く。
ルークは慌てて部屋を出る。

「待てよ! 俺も行くぞ!」

ルークはティアたちを追いかけて言った。

「ダメよ。あなたはまだ病み上がりなんだから」
「そうですわ、ルーク。アッシュのことは、わたくしたちに任せて、あなたはゆっくりと休んでいてください」
「でも、俺もアッシュを探したいんだよ!」

ティアとナタリアに反対されてもルークは引き下がらなかった。
みんなが自分のことを心配してくれているのはわかっている。
でも、俺はそれでも……。
そんなルークを見て、ジェイドは呆れて溜息をついた。

「……仕方ないですね~。いいですよ」
「! 大佐、何言ってるんですか!」
「このまま、ルークをここに置いていっても、後で追いかけてきますよ」
「そっ、それはそうですけど……」
「でしたら、一緒に行動した方は安全かもしれませんよ」

ジェイドの言葉についにティアたちはおれた。

「ありがとな。ジェイド」

ルークは素直にジェイドに礼を言った。
「ですが、具合が悪くなったらすぐに言ってください」
「うん!」

ルークは元気よく頷いた。
そして、ルークたちはフェレス島に向かった。





* * *





もうすぐだ。
もうすぐアレが、ここにやってくる。
私の欲しいものを持っているものが。
赤い光がもうすぐ……。








人形シリーズ第3話でした!!
なんだかルークがとても卑屈になってしまいました。
今回は、ジェイドばっかりが喋ってるし;
ジェイドの口調が一番描きやすいと感じているからなぁ?


H.18 8/2