「……そういえばさぁ、アッシュは、俺がこっちの世界にいるってこと知ってたんだろ? なんで回線で連絡してくれなかったんだよ?」

あれから少し時間が経ってから、ルークとアッシュは教会に戻る為に歩き出した。
そして、その途中ルークはふと思い出したようにアッシュにそう言った。

「だって、そうだろ? そうしたらもっと早く、アッシュに逢えたかもしれないのに」
「そっ、それは……;」

ルークの言葉にアッシュは言葉を濁した。

(言えねぇよな……)

確かに、俺とルークは、フォンスロットで繋がっている。
フォンスロットを繋げば、どんなに離れていてもルークと話すことが出来るのだ。
だが、アッシュはそのことをすっかり忘れていたのだ。
それを正直に言えるはずなどない。

「……もしかして、忘れてたとか?」
「そっ、そんなわけないだろ!」
「……本当?」

アッシュの言葉にルークは眉を顰めた。
明らかに疑っているのがわかる。

「……そっ、そもそも、俺とおまえは空間が違うところにいたんだ。回線が繋がるとは限らないだろっ!」
「あっ、そっか。俺はシルヴァラントで、アッシュはテセアラに落ちたんだったね」

アッシュの言葉を聞いて、ルークは思わず納得していてしまった。
それにアッシュは、少しホッとした表情になった。

「でも、もう一緒の場所にいるから回線を繋げられるね♪」
「……そんな必要ねぇよ」
「……えっ?」

静かなアッシュの言葉にルークは、キョトンとした表情になった。

「……もう俺は、おまえの傍から離れたりしないからな」

ずっと、おまえの傍にいてやる。
絶対離れたりなんかしない。
だから、そんな必要はないんだ。
「っ!! …………バカ////」

ルークは俯くと、小さくそう呟いた。
顔はよく見えなかったが、ルークの顔は明らかに赤くなっていた。
それを見たアッシュは、満足そうに笑みを浮かべるのだった。






〜Symphony The World〜








「ごめんね、みんな;」

教会へと戻り、ロイドたちと再会したルークはすぐに謝った。

「別にいいのよ。それより、身体の方は大丈夫?」
「あっ、はい。今のところはなんともないです」
「そう……。でも、具合が悪くなったらすぐに教えてね」

ルークの言葉にリフィルは、優しくそう言った。
それにルークは、素直に頷いた。

「あ〜あ〜。結局、アッシュも付いてくるのかよ;」
「当たり前だ。何、寝惚けたこといってやがるんだ?」

残念そうにそう言ったゼロスに呈して、アッシュはサラリとそう言った。

「……それと、旅の間もちゃんと仕事はやってもらうぞ」
「ゲッ!? マジかよ;」

トドメとばかりに言ったアッシュの言葉にゼロスはうな垂れた。
そんな二人のやり取りを見てルークは苦笑した。

「……ねぇ、そういえばさぁ、ルークとアッシュって、そっくりだよね♪」
「えっ!? そっ、それは……」

何気ないジーニアスの言葉にルークは困惑した。
言うべきなのだろうか?
俺がアッシュのレプリカだということを……。
でも、それを言った後のロイドたちの反応が怖い……。

「……ああ、俺とルークは双子だからな」
「!?」

そんなルークの様子を見て、アッシュはサラリとそう言った。
そのアッシュの言葉にルークは驚いて目を見開く。

「あっ! やっぱり、そんなんだ!!」

そんなルークには気付くことなく、ジーニアスは話を続けた。

< 「ああ、俺が兄で、ルークが弟だ」
「ちょっ、ちょっと待ってよ! 俺がいつ弟だって言ったのさ!!」
「何言ってやがる。事実だろうが」
「う゛っ;」

呆れたように言ったアッシュの言葉にルークは言葉に詰まった。
確かに、俺が生まれたのは七年(実際は十年だけど)前で、アッシュはそれよりずっと早いのだ。
それは、どう頑張っても引っくり返すことの出来ない、事実なのだ。

「……けど、似てないような。おまえら」
「えっ? ほっ、本当?」

ルークの言葉にロイドは、ニッと笑った。

「ああ! 俺は、ルークとアッシュの見分けなんかすぐにつくぞ! ずっと、一緒だったしな!!」

ロイドは少し照れくさそうに頬を掻いてそう言った。
この二人は外見が同じでも、全然違うと思った。
それはきっと、心が違うからだろう。
ロイドの言葉にルークは、本当に嬉しそうに笑みを浮かべた。

「……そうだねぇ〜。俺様もルークちゃんの方が好みだな♪」
「えっ///」

ルークの反応にゼロスは笑みを浮かべると、ルークを抱きついた。

「ルークちゃん♪ あんないつも眉間に皺が寄ってる奴なんかやめて、俺様に乗り換えようぜぇ〜♪」
「ゼロス! てめぇ、ルークに触るな!!」

アッシュは、すぐさまルークをゼロスから引き離した。

「何するんだよ、アッシュ。せっかく、俺様がルークちゃんを口説いているのに」
「やかましいっ! おまえなんかがルークに触ったら、その馬鹿がルークに移るだろうが!!」
「はぁ〜。ひどいなぁ、アッシュは; 俺様、マジで傷付いたし;」

哀しそうに溜息をゼロスはついた。
そんな二人のやり取りにルークはおかしくなって笑った。

「……何笑ってるんだよ、ルーク」
「いや、だってさ。アッシュとゼロス、二人とも仲がいいなぁと思って♪」
「「はぁ?」」

ルークの言葉にアッシュとゼロスは見事にハモった。

「……ルーク。何処をどう見てそう言えるんだ?」
「そうだよ。俺様が仲良くしたいのは、ルークちゃんなんだぜ♪」

ゼロスはさり気無くルークに近寄ると、ルークを再び抱き締めた。

「っ!? 貴様!! ルークに触ると言ってるだろうがっ!!!」

それに対して、アッシュは腰にある剣に手を伸ばして怒鳴った。

「そっ、そういえばさぁ! 俺たちこれから何処に行くんだ?」

それにさすがにヤバイと感じたルークは、慌ててゼロスから離れると、何とか話題を変えようとそう言った。

「ああ……。サイバックって街だ。グランテセアラブリッジを渡った先にある。ここからだと北東の方角だな」

ルークの行動にゼロスは、少し眉を顰めてそう言った。

「……そこに、王立研究院があるのか?」
「そうだぜぇ。王立研究院の使用には、王家の許可がいるからな。このゼロス様の頼みなら陛下も一発オッケーよ」

ロイドの言葉にゼロスは自慢げにそう言った。

「凄いな、ゼロス!」
「……ボクたちを監視するんだから、それくらい当たり前でしょ」

瞳を輝かさせてそう言うルークに対して、ジーニアスは溜息をついてそう言った。

「可愛くねぇガキだなぁ!」
「王立研究院に行くのはいいとして、プレセアは解放してもらえるの? まさか、彼女まで監視するなんてことはないんでしょう?」
「そりゃそうさ〜。おチビちゃんはシルヴァラントの人間じゃないのだろ?」
「…………オゼット」

ゼロスの問いにプレセアは、短くそう答えた。

「オゼット!? あの田舎……じゃなくて、森の奥の村か!」

プレセアの言葉にゼロスは、目を見開かせながらそう言った。

「サイバックもオゼットも海を越えた向こうの大陸にあるんだ。ついでに送ってやろうや」
「えっ? 本当!? それ、大賛成っ!!」

ゼロスの言葉にジーニアスは嬉しそうに言った。

「プレセアもそれでいいかな?」
「…………はい」

ロイドの問いにプレセアは頷いた。

「王立研究院か……。ワクワクするなぁ♪ 早速行こうぜ、みんな!」

こうして、ルークたちはサイバックを目指すのだった。
























Symphonyシリーズ第4章第6話でした!!
はい、すみません!アッシュとルークがいきなりラブラブしてます;
そして、ルークの為に双子宣言したアッシュがいいねww
けど、アッシュが兄であることは決して譲りません!!
ゼロロイにするはずが、まだゼロスはルークを狙ってるし;


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