「……ダメだ、みんな!! 逃げろっ!!!」

そう叫んだ、ルークの声はロイドたちの耳のは届かなかった。
「――――ジャッジメント!!」






〜Symphony The World〜








そうクラトスが叫び、閉じていた瞳を開く。
すると、辺りに無数の光の柱が降り注いだ。
その光の柱は正確にロイドたちを射抜いた。

「がぁっ!」
「ロイド! みんな!!」

唯一ルークだけが、クラトスのジャッジメントの攻撃を受けなかった。
ルークは慌ててロイドたちに駆け寄った。
ルークはクラトスの詠唱を聞いて、ジャッジメントが来ると感じ取り、それが発動した途端、粋護陣を発動させたのだ。
駆け寄って、ロイドたちを見るとロイドたちは気を失っていて、怪我をしていたが命に別状はなかった。
その様子にルークはホッとした。

「…………何故、わかった?」

すると、ルークの背中にクラトスの声が降りかかる。

「何故、私がこれを出すとわかった?」
「……譜歌(ふか)に、これと全く同じ技があるから」
「……なるほどな」

ルークの言葉にクラトスは納得したように言った。

「……クラトス」

ルークはクラトスへと振り返り、真っ直ぐとクラトスを見つめた。

「……どうして? ……どうして、こんなことするの! ロイドたちはクラトスの仲間じゃないのかよっ!?」

感情を抑えてそう言ったつもりだったが、ルークの声は明らかに震えていた。
だが、そんなルークの言葉にクラトスは、一向に動じなかった。

「……私は、己の任務をまっとうしただけだ」
「うっ、嘘でしょ? クラトス……」
「…………」

それにクラトスは、何も答えなかった。
そして、クラトスは静かに進み出る。

「そこをどけ。神子(みこ)をデリス・カーラーンへと導く」
「……いやだ!」

それにルークは、はっきりとそう言った。

「……なら、おまえでも容赦はしない」

クラトスはルークに駆け出し、斬りかかった。
ルークは腰にある剣を抜き、それを受け止める。
そして、その反動を生かして後ろへと飛び退き、深く息を吸う。

「深淵へといざなう旋律……!」

譜歌(ふか)を歌おうとしたとき、クラトスの剣がルークへと襲う。
ルークはそれを間一髪のところで避けた。

「その歌は歌わせん!」

そう言うとクラトスは休む暇なく剣を振るう。
ルークそれに剣で受け止める。
剣と剣がぶつかり合う度に金属音特有の高い音が響く。
クラトスは思っていた以上に強いが、決して倒せない相手じゃない。
でも、それはしたくない。
だって、クラトスは仲間なんだ。
大切な……。

「遅い!!」

キイイィィィン

ルークの一瞬の隙をついて、クラトスはルークの剣を弾き飛ばした。
剣は弧を描いて遠くへと落ちた。
ルークは慌ててクラトスから距離をとった。

「……勝負は着いたな、ルーク」

クラトスは、真っ直ぐと剣をルークに向けた。

「くっ……」

それにルークは悔しそうに唇を噛むと、俯いた。
だが、すぐにまた顔を上げた。
その顔には迷いは消え、そればかりか笑みさえ浮かんでいた。

「…………行くよ」

小さくそう呟くと、ルークは一気にクラトスへと駆け出す。

「命を捨てるか? 愚かな……」

それにクラトスは残念そうに剣を構えた。
だが――。

「なっ……!?」

次の瞬間、クラトスは息を呑んだ。
ルークの手に握られている剣がクラトスの喉元の寸前で止められている。
先程までルークの手には何も握られてなかったのに、いつの間にか剣が握られていた。
しかも、その剣はさっきまで使っていた剣とは明らかに違い、音叉を思わせるような形の剣だった。
それにその剣からは不思議な力を感じる。
これに似た剣を知っている。
あの強大な力を持ち剣を………。

「…………どうして?」

すると、ルークはクラトスから剣を放すと、クラトスから距離をとった。
剣が光の粒子へと変わり跡形もなく消えた。
そして、声を絞り出すようにそう言ったのだ。
美しい翡翠の瞳から涙が溢れ出す。

「……どうしてこんなことをするの?」
「…………」

悲痛なルークの声にクラトスは、何も言えなくなった。

「……何か、訳があるんだろ?」

その言葉にクラトスの鳶色の瞳が揺らいだ。
それをルークは見逃さなかった。

「……やっぱり、そうなんだな。だったら、話してよ! 俺たち、仲間でしょ!?」
「…………っ!」

ルークの言葉が胸に突き刺さる。
仲間
彼にそう呼ばれる資格が本当に私にはあるのだろうか?
彼らを騙していた私に……。

「クラトス……」

ルークは、一歩クラトスに近づいた。
これ以上、見たくなかった。
ルークの哀しそうな顔を……。
クラトスは、全てをルークに明かそうと口を開きかけた。
そのとき、

「―――――っ!!」

ルークの声にならない悲鳴が木霊し、その場へと倒れ込んだ。
辺りの床がルークの血で赤く染まりだす。
それは、真っ白なルークの服も同じだ。

「ルーク!?」

予想だにしなかった事態にクラトスは目を見開き、ルークへと駆け寄ろうとした。
だが、ある人物の視線を感じ、足を止めた。
その方向へと視線を向けるとそこにいたのは、純白の身体の線が出るくらいピッタリした衣装に身を包み、その背には自分やコレットよりも枚数が多い、十二枚の七色の光の羽が生えていた。
整った顔立ちだが、その半分は柔らかそうなブロンドの髪隠れている。

「……ユグドラシル……様……」

クラトスは、そう呟くと膝をついて、頭を下げた。
ユグドラシルは、すうっとルークへと近づくと、ルークを見下した。

「……クラトスを負かすとは、なかなかやる奴だな。だが……」

ユグドラシルは、ルークの傷付いた背中を踏んだ。
それによって、ルークの顔が苦痛で歪む。

「おまえのような劣悪種が、クラトスを倒せるわけがない。ましてや、クラトスが仲間になるはずもない」
「…………」
「どうした、クラトス? 何か不満でもあるのか?」

何も言わず、ただルークを見つめているクラトスにユグドラシルは碧い瞳を向けた。

「…………いや……」
「……そうか、ならいいな」

クラトスの言葉にユグドラシルは満足そうに微笑むと、ルークへと手を突き出した。
その手には次第に魔術が収束していく。

「……さらばだ」

魔術がルークへと放たれようとした、そのときだった。

「――――魔神剣!」
「っ!?」

突如、ユグドラシルに衝撃波が襲い掛かった。
それによって、術は中断された。
ユグドラシルは衝撃破が飛んできた方向を顧みた。
そこにいたのは、短く刈って立てた髪と同じ鳶色の瞳を持つ少年。

「……ルークに……手を出すなっ!!」

怒気を孕んだロイドの声が辺りに木霊した。
























Symphonyシリーズ第3章第12話でした!!
ルーク VS クラトス!その結果は誰もが解っていたと思いますww
ルークが負けるはずがありません!!でも、勝ち方がRainシリーズのジェイド戦と同じ;
そして、ユグドラシル登場!喜びたいの、これじゃ喜べないよ!!
また、ルークが瀕死状態です!!


H.21 2/5



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