「次の封印はここより北西。世界の中心を望む場所。彼の地の祭壇で、祈りを捧げよ」 第三の封印、『バラクラフ王廟』の祭壇に降臨したレミエルは『ソダ間欠泉』のときと同様に平静に宙に浮かぶコレットにそう告げた。 「わかりました。……レミエル様」 「また次の封印で待ってる。我が娘……コレットよ」 レミエルは、そう言うと光と化し消える。そして、 『……旅の終焉は近い。早く真の天使になるのだ。よいな……』 そう、言い残し天へと戻っていった。 〜Symphony The World〜 「待て!」 遺跡から出ようとしたとき、突然声が響いたのでルークたちは足を止めた。 「この声は……;」 「いやな予感」 「……?」 ロイドとジーニアスがそう呟いたとき、ルークたちとは別の通路から一人の女が現れた。 それは紛れもなく、ルークたソダ間欠泉で見かけた女だった。 「漸くこの日が来たな。この古代遺跡がそのまま貴様達の墓場になる……」 「あなたもここに来てたんですね〜♪」 女の姿を見たコレットは、嬉しそうに女に近づいていった。 「ちっ、近づくな! 動くな! 物に触るな!!」 それを見た女は、何故か慌てふためいた。 「……ねぇ、コレットはあの人に何したの?」 その理由を唯一知らないルークは、首を傾げた。 「……まぁ……あれは……事故だな;」 「??」 「コレットの命を狙ったとき、コレットが転んだ拍子に古い坑道の空気抜きの天窓が開いて、あの人落ちちゃったんだよ」 ロイドが苦笑雑じりでそう言った後、さらにわからなくなったルークにジーニアスが小声でそう言った。 その時、よっぽど酷い目に遭ったのだろう。 ルークは彼女に同情した。 (この人……どうも悪い人に見えないよなぁ〜) そう思ったルークは女へと一歩近づいた。 「なっ、何のつもりだい!?」 それに女は戸惑い、一歩後退りをした。 「俺、ルークっていいます。あなたの名前は?」 「あっ、私コレットです、殺し屋さん♪」 ルークが笑ってそう言ったのに続いて、コレットも笑ってそう言った。 「お、おまえたち、何考えてるんだ! 名前なんて訊いてない! 訊いたってしょうがない! あ、あたしは、お前の命を狙ってるんだぞ、神子!!」 「知ってます。……でも、話し合えばきっと、お互い分かり合えますよ?」 「あっ! それ、俺もそう思う!!」 コレットの意見に思わず、ルークの賛成した。 「お、おまえたち、人の話を聞いているのか!?」 「聞いてますよ〜。……えっと……殺し屋さん?」 「しいなだ! 殺し屋殺し屋呼ぶな! 何なんだ、もう! なんでそんなに信じられる!!」 「だって、俺。しいなさんが『救いの小屋』で、お祈りしてるの見たから」 「なっ///」 そう、ルークは『救いの小屋』と言う場所へ立ち寄ったとき、彼女の姿を見ていたのだ。 スピリチュア像の前で真剣にお祈りしている彼女の姿を……。 「あ、あのときは、ちゃんと神子を殺せるようにと……」 「あれ? そうだっけ? あのときよくは聞こえなかったけど、しいなさん確かに『みんなが助かりますように』っていってた気がするけど? 誰かを助けたいと思う人が、悪い人のはずないよ!!」 ルークは笑顔でそう言った。 それを見たしいなの顔が赤くなっていった。 「もっ、もういいっ! 例えそうだとしても、あたしはみんなのために神子を殺すことを決めたんだ! 貴様らと馴れ合うつもりはない!!」 そう言うと、しいなは懐から二枚の紙札を取り出し宙へと放つ。 すると、二枚の紙札は空中で怪物へと変化した。 仮面を付けた竜車の車輪のようなものを背負った、鋭い爪を持つ怪物に……。 二体の身体の色はそれぞれ蒼と紅だ。 「式神壱・紅風! 式神弐・蒼雷! 神子を殺せ!!」 「来るぞ」 しいなの声にクラトスは、冷静に剣を抜いた。 「……結局戦うのかよ; クラトス! 同じ敵を狙おう! まずはあの蒼い怪物だ!!」 「わかった」 クラトスの言葉を聞くとロイドは双剣を抜き、式神弐・蒼雷に向かって走り出した。 「……御許に仕えることを許したまえ。響け、壮麗たる歌声よ」 すると、コレットの詠唱が聞こえてきた。 初めて聞くその詠唱は、ルークにはなんだか聞き覚えがある言葉だった。 「――――ホーリーソング!」 コレットが、そう叫ぶと同時に人の声とは全く違う声の歌声が鳴り響いた。 そして、力がみなぎってくるのがよくわかる。 これは、ティアの譜歌と同じだ。 すると、ロイドは蒼雷の脇に走り込むのが見えた。 「――――虎牙破斬!」 「――――閃空裂破!」 ロイドが左右の剣を斬り上げ、斬り下ろすと同時に、いつの間にか真逆にいたクラトスが身体を回転させながら螺旋状に剣を振った。 二人の攻撃を受けた蒼雷はバッと身体を散らすと、ビリビリになった紙札へと変わり、地に落ちた。 「ロイド、クラトス! すごいなぁ〜!!」 それにルークは、感心したように言った。 すると、ルークは背後から気配を感じ取り、振り返りながら剣を抜いた。 そして、振り下ろされる鋭い爪を容易く受け止めた。 「ルーク!」 ロイドの焦る声が聞こえた。 だが、ルークはそんなことは気にせず、紅風の爪を剣で押し返した。 「――――岩斬滅砕陣!」 剣を振り下ろし、大地に衝撃を与えた。 複数に岩片が紅風を襲ったが、紅風はそれを避けた。 「ちっ! くらえっ!!」 舌打ちした後、透かさずルークは崩襲脚を繰り出す。 それによって、地のFOFが発生した。 それをルークは見逃さない。 「駆けろ地の牙!」 ルークは、思いっきり剣を大地に叩きつけた。 「――――魔王地顎陣!」 大地から岩を巻き上げ、その衝撃が紅風を襲う。 その瞬間、紅風はロイドとクラトスが倒した一体と同じように紙札へと化し、巻き上がる岩によって粉砕された。 「さぁ、片付いたぜ!」 ルークはそう言うと、さっさと剣を収めた。 「そっ、そんなっ……」 それを見たしいなは、信じられないものを見たかのように狼狽えた。 「もうやめろ! おまえはディザイアンじゃないんだろう!!」 ロイドも剣を下げ、そう怒鳴った。 しいなは、拳を握り締め、唇を噛み締めた。 「……くっ! どうして……勝てない……?」 「正義と愛は必ず勝つ!」 拳を突き上げ、楽しそうにそう言うとジーニアスの言葉にロイドは、ガクッとなった。 「あ、あのなぁ、あのアホみたいなドワーフの誓いを引っ張り出すんじゃねぇよ」 「…………何が正義だ」 しいなが静かにそう言った。 瞳には、自分たちに対する怒りと敵意が宿っている。 「おまえたちが正義なものか! おまえたちが正義だというなら、あたしだって正義だっ!!」 「おまえも一緒になって、正義正義いうなっ! 恥ずかしい奴だなぁ!!」 すっかり戦う気をなくしたロイドは、そう言いながら双剣を鞘へと収めた。 しいなも敵意はあるようだが、先程まであった殺意はなくなっていた。 「おまえに何がわかる! おまえたちの世界を再生するとき、あたしの国は滅びるんだっ!!」 「! 待ってよ、どういうこと? コレットが世界を再生したら、みんな助かるんじゃないの?」 しいなの言葉に疑問を感じたルークは、しいなに問いかけた。 「……助かるよ。この世界はね!!」 「「「「「「!!」」」」」」 そうしいなは吐き捨てると踵を返して、ルークたちの前から立ち去った。 「待ちなさい! あなた、何者なの! 他に仲間がいるのね!?」 リフィルの声を聞きながらロイドは、しいなの後を追ったが見失った。 「この世界? それって、どういう意味だよ……?」 「もっ、もしかして、ルークの世界と関係してるのかな?」 「……わからない。でも、俺に世界であんな服装は見たことないし……違うと思う」 ジーニアスの言葉にルークは、それしか言えなかった。 「…………あの娘……まさか……」 そんな中、クラトスがポツリと呟いた。 「……知ってるの?」 そうルークが尋ねると、無言でクラトスは首を振った。 「……いや。それよりここを出よう」 クラトスはそう言うと踵を返して、遺跡の出口へと歩き出した。 ルークたちもそれに続いて遺跡を後にした。 Symphonyシリーズ第2章第4話でした!! 第2章第4話にしてやっとしいなの登場です♪ 一応、第2章第1話にはちょこっと出ていたけどね; ルークに笑いかけられて赤面するしいな、可愛いなぁwwとか思っちゃってますww 何気にルークは戦闘終了時の台詞を言ってますww H.19 8/4 次へ |