「見つけたぞ! 観念しろ!!」

管制室を目指すロイドたちをディザイアンたちがお阻む。
ロイドたちはそれを倒していくが、いくら倒してもきりがなかった。
そして、いつの間にかディザイアンたちに囲まれてしまっていた。

「くそっ! こんなときに!!」

唇を噛み、ロイドは双剣を握り直す。

「コレット、クラトス! いけるか?」
「うん! 大丈夫だよ、ロイド!!」
「私はいつでもいけるぞ」

ロイドの問いにそう二人は答えた。

「よし! さっさと、片付けるぞ!!」

それを聞いたロイドは、ディザイアンへと向かって走り出そうとした。






〜Symphony The World〜








――――トゥエ レィ ツェ クロア リュオ トゥエ ズェ

すると、何処からともなく声が聞こえてきた。
辺りに美しい旋律が流れ出す。
ロイドはこの歌を知っていた。
この声の持ち主を……。

「なっ、なんだ……?」

すると、突然、ロイドを取り囲んでいたディザイアンたちがバタバタ倒れ始めた。
その場に立っているのは、ロイドたちだけとなった。

「……この人たち、みんな、寝てるよ」

コレットは、恐る恐るディザイアンへと近づくとそう言った。

「よくわからないが、どうやら助かったようだな」

それを聞いたクラトスは、剣を鞘へと収めた。

「一体、どうしちゃったんだろう?」

コレットは、不思議そうに首を傾げた。
クラトスも不思議そうな顔をしたがロイドだけは違った。
辺りに美しい旋律が流れ出した途端、ディザイアンは倒れたのだ。

――――譜歌(ふか)譜歌(ふか)に込められた意味と象徴を理解しないと発動しないんだって。

ルークとの会話が頭の中に過ぎった。

「…………これが……譜歌(ふか)の力……?」
「えっ? ロイド、何か言った?」

小さく呟いたロイドにコレットは聞き返した。

「えっ? あっ、いや……。なんでもない」

それにロイドは、慌てて答えた。

「それより、早くクヴァルのところに行こうぜ!!」
「う、うん……?」

少し不思議そうな表情でコレットはそう言ったが、ロイドはそんなことは気にせず先へと進んだ。
ベルトコンベアを停止させ、そこを登って部屋へと入ると、その部屋の奥に転送装置を見つけた。

「あっ! 動いてるよ、ロイド!!」
「ああ、ルークたちがガードシステムを解除し終わったみたいだな!」

コレットの言葉にロイドは、嬉しそうにそう言った。

「よし! 行くぜ、コレット! クラトス!!」
「うん!」
「ああ」

ロイドの掛け声に二人は答え、そして、ロイドたちは転送装置へと乗り込んだ。

(待ってろよ、クヴァル!必ず、倒してやるからな!!)

ロイドは床を蹴って、転送装置を作動させた。

















転送装置によって着いた場所は、パルマコスタの人間牧場の管制室によく似ていた。
ここが管制室なのだろう。
ロイドは、中央の巨大な円壇の向こうに視線を向けた。
そこにクヴァルの姿があった。
もう一人、人影はあったが、それは実体ではなくリフィルが使っていた立体映像だった。
翠色の髪をした露出の高い服を着た女で、彼女の周りに金色の盾のようなものが何枚もマントのように浮かんでいた。

「クヴァル、見つけたぞ!」

ロイドはそう叫ぶと、クヴァルへと近づいた。
すると、立体映像の女がロイドへと視線を向けると、血のように赤い唇に笑みを浮かべた。

『それがロイドかぇ? なる程、面影はあるのぅ』
「やはり来たか」

クヴァルは、ちらりとロイドを見るとすぐにまた立体映像へと目を向けた。

「話を逸らさないで欲しいですね、プロネーマ! あなたが私の元からエンジェルス計画の研究データを盗み出したことは明白なのですよ」

クヴァルにプロネーマと呼ばれた女は、呆れたように溜息をついた。

『しつこいのぅ。わらわは知らぬと言っているだろう』
「……強情な。さすが五聖刃の長の座を掠め取っただけはある。プロネーマよ。この劣悪種からエクスフィアを取り返せば、五聖刃の長は私となるでしょう。そのときに後悔しても遅いのですよ」

クヴァルの脅しに対しても、プロネーマは笑っていた。

『寝言は寝てから……と申すな。そなたこそ、ロディルの口車に乗って、何かを企んでおるよううじゃが……』

次第にプロネーマの顔から笑みが消え、鋭い目つきでクヴァルを睨みつける。

『ユグドラシル様の目、そうそう誤魔化させると思うでないぞぇ』

そう言い残すと、その場からプロネーマの姿が消えた。
クヴァルは、プロネーマの言葉を聞き眉を顰めた。

「……魔導砲のことが漏れたか? ……まあいい」

唇に薄い笑みを浮かべるとクヴァルは、ロイドたちの方へと振り向いた。

「そのエクスフィアを取り返せば、嫌疑など晴れるでしょう!」

そうクヴァルは言うと、手を空中へと伸ばす。
すると何もないところから、先端が円刃になった一本の杖が出現し、クヴァルの手の中に納まった。

「私がこの手で引導を渡してくれる!」

クヴァルは近くにあった装置を操作すると、管制室の備え付けられていた複数の護衛ロボットが動き始めた。

「来るぞ!」

それにクラトスは剣を抜き、構えた。

「やらせるか!!」

ロイドは勢いよく双剣を鞘から引き抜くと、クヴァルへと駆け出した。
























Symphonyシリーズ第2章第12話でした!!
シンフォニア側で唯一ルークから譜歌(ふか)のことを聞いていたロイド。
改めて、ルークの凄さを実感しましたww
そして、今回はプロネーマの登場!!
プロネーマの喋り口調むずし;


H.19 11/12



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