「さぁ、私たちも行動開始よ」 ロイドたちが部屋を出て行くのを見送ると、リフィルはそう言った。 「はい!」 それにルークは頷くと、地下室を目指して部屋を出た。 〜Symphony The World〜 「おまえらぁ! こんなところで何をしている!!」 (あ〜あ; 見つかっちゃったよ;) 残念なことに、部屋を出た途端ルークたちは、ディザイアンに見つかってしまった。 「あ〜っ! なんで、いきなりなわけ!?」 この状況にジーニアスは、頭を抱えた。 「……まったく、構っている場合じゃないのに……」 「仕方ないだろ。さっさと、片付けるよ!!」 リフィルは杖を構え、しいなは懐から札を取り出した。 (……あんまり、戦いたくないなぁ) ルークの一応、剣を構えたがあまり戦いたいとは思わなかった。 あまり、人を傷付けたくない。 彼らも人だから……。 (……よし! やっぱり、アレを試してみるか!) そう決めたルークは、一旦剣を降ろし前へと出た。 「「「ルーク!?」」」 ルークの行動にジーニアスたちは、驚いて声を出す。 「あの〜。俺、あまり戦いたくないんで、ここは見逃してもらえないですか?」 アレを試す前にルークは、そうディザイアンに頼んでみた。 「おまえ! ふざけているのか!!」 それが逆効果だったらしく、ディザイアンたちは武器を構えた。 「あっ、やっぱり;」 それを見たルークは、思わず苦笑した。 「もう! 何言ってるんだよ、ルーク!!」 ジーニアスは、呆れたようにルークの言った。 そんなことを言って通じる相手では、ないとわかっているはずなのに……。 ルークが一体何を考えているのか、時々わからなくなる。 「…………それじゃぁ、仕方ないね」 すると、ルークは笑みを浮かべると剣を構えた。 だが、それいつもと構え方が明らかに違っていた。 左手で剣の柄を持ち、右手で剣の刃に添えて剣を水平に保つ。 そして、ルークは大きく息を吸った。 「……深淵へといざなう旋律。 トゥエ レィ ツェ クロア リュオ トゥエ ズェ」 ルークの口から美しい旋律が流れ始める。 それは今までに聞いたことのない不思議な旋律だ。 すると、目の前にいたディザイアンたちがバタバタと倒れていった。 それは、この部屋だけでなく、他の部屋からもディザイアンたちが倒れる音が聞こえた。 「なっ、何!? 何が起こったんだい!?」 その状況にしいなは、驚いたように辺りを見回した。 「大丈夫だよ。この人たち、寝てるだけだから」 それにルークは、剣を下ろすと笑みを浮かべてそう言った。 「寝てるって……。じゃぁ、これはルークがやったの?」 「うん! あっ、でも、ここまで上手くいくとは俺も思わなかったけどね」 ジーニアスの問いにルークは、苦笑雑じりで答えた。 「強い刺激さえ与えなければ、多分起きないと思うよ」 「……そう。わかったわ」 ルークの言葉にリフィルは頷くと、ディザイアンの近くにある扉へと向かった。 「……鍵がかかっているわね。仕方ありません、別ルートを探しましょう」 別ルートを探す為、ルークたちは一旦外へと出た。 「あなたたち、大丈夫?」 別ルートで地下にやってきたルークたちは、人々が囚われていた部屋へと辿り着いた。 そこの見張りをしていたディザイアンもルークの譜歌によって眠っていた。 リフィルは近くの機械を操作し、人々を解放した。 「あんたたちは?」 「マナの神子を守るものよ。神子があなたたちを助けに来たの。さぁ、しっかりして」 男の言葉にリフィルは、そう言うと辺りを見回した。 「……ところで、ここにパルマコスタから来た人はいて?」 リフィルの問いに、一人の男が手を挙げた。 「俺はそうだが……」 「ショコラという少女のことをご存知?」 「ああ、ショコラなら、ここで培養検査を受けていたよ。その検査でどの牧場へ連れて行かれるか決まるんだ。ショコラは、確かイセリアのほうへ連れて行かれたはずだが……」 「イセリア……。そう、ありがとう」 男の言葉にリフィルは、お礼を言った。 「リフィルさん!」 すると、ルークとジーニアスがリフィルが入ってきた扉とは違う扉からこの部屋へと入ってきた。 「ルーク、ジーニアス。ガードシステムのほうは解除出来て?」 その問いにルークは、コクリと頷いた。 「はい! ジーニアスのおかげで解除することが出来ました!!」 「そんなことないよ! ルークがシステムを護るロボットを倒してくれたからだよ!!」 ルークの言葉を聞いたジーニアスは、少し照れながらそう言った。 「あれ? そういえば、しいなは何処に行ったの?」 「あたしなら、ここにいるよ」 声が聞こえたほうへと視線を向けると、階段から降りて来るしいなの姿をルークは捉えた。 「先生の言った通り、未発達のエクスフィアを暴走させる特定の電波を発生させる装置を見つけたよ。ちゃんと使い物にならないようにしてきたよ」 「じゃぁ、エクスフィアが暴走することはないんだね?」 ジーニアスの問いにしいなは頷いた。 「そう、わかったわ。私たちはこれからこの人たちを脱出させます。……ルーク。あなたは一人先に管制室に向かいなさい」 「えっ?」 リフィルの思っても見ない言葉にルークは驚いた。 「でっ、でも、俺も一緒に……」 「大丈夫よ。あなたの言う譜歌の力のおかげでディザイアンたちは眠っていますし。もし、起きてしまっても私たち三人だけでも十分戦えます」 「でも……」 「それに、どうもロイドたちだけじゃ不安なのよ。だから、お願い」 「……わかりました。俺、行ってきます!」 ルークは力強く頷くと一人、管制室に向かって走り出した。 リフィルは、わかっていたのだ。 本当は、ルークはロイドたちについていきたかったことを……。 でも、自分たちのことを心配してくれて一緒についてきてくれたのだ。 彼は優しいから……。 だから、行かせたのだ。 「さぁ、とにかく逃げましょう。みんな、私について来て。よろしい?」 ルークが部屋から出て行くのをリフィルは見届けると、人々のほうに向きなおし、そう言った。 そして、彼らを連れて牧場を脱出した。 Symphonyシリーズ第2章第11話でした!! ついにやらしてしまいました!! だって、ルークは譜歌を使えると思ったからww ルークが譜歌の意味と象徴を知らないのはきっと、第七番目の譜歌だけだと思うからww さぁ、次回はロイドサイドになります!! H.19 11/8 次へ |