「これかな? ピエトロさんが言っていた岩は……」 ルークたちは、再びアスカード人間牧場へとやってきた。 そして、人間牧場から少し離れた辺りに不全な形で据えられていた岩を発見したのだった。 「そうね。とりあえず、動かしてみましょう」 「よし! 俺に任しとけ!!」 リフィルの言葉にロイドは、岩を思いっきり押した。 が、ロイドがいくら押しても岩は一ミリも動かなかった。 「ダメだ。見た目のわりにはビクともしないや」 「それでは、ピエトロさんから預かったディザイアンオーブを使ってみましょう」 リフィルとそう言うとカバンから球体状のものを取り出し、それを岩へと近づけた。 すると、ロイドがいくら押しても動かなかった岩が静かに横へと移動した。 「……俺が押しても動かなかったのに;」 その様子を見たロイドは、ガクッと肩を下げた。 そんなロイドの反応にルークは苦笑した。 「まぁまぁ。……それより、早く中に入ろう、ロイド」 「ああ……」 ルークの言葉に促されて、ロイドたちは牧場の中へと侵入した。 〜Symphony The World〜 「誰だぁ! おまえたち……ぐわぁ!」 前回クヴァルと出会った部屋へと行くと数人のディザイアンと鉢合わせになってしまったが、それをルークたちはあっさりと倒した。 そして、リフィルは部屋の中央の円卓へと歩き出した。 「とりあえず、今牧場の全景図を出しましょう」 そして、円卓についている文字盤を指で叩き操作し始めた。 空中に立体的な建物の地図が浮かび上がるのに、さほど時間は掛からなかった。 「先生、すげぇ」 「へぇ、こっちの人間にもまともに機械を使える奴がいるんだねぇ」 しいなの言葉にジーニアスが首を傾げた。 「こっちの人間……?」 「あっ、いや……。こっちの話サ」 それにしいなは、慌ててそう言った。 「……今、私たちがいる場所はここよ」 リフィルがそう言うと、立体映像の真ん中の部分が点滅した。 「そして、クヴァルはここにいるはずよ」 次に左奥で上の部分が点滅した。 そこがこの牧場の管制室のようだ。 「……どうやら、クヴァルのいるフロアに行くには、ガードシステムを解除する必要がありそうね」 「がーどしすてむ?」 聞き慣れない言葉にコレットは首を傾げた。 「ここよ」 すると、管制室の真下にある部分が点滅する。 「このガードシステムを解除しない限り、クヴァルには近づけないわ」 「くっそ。どうすりゃいいんだよ!」 リフィルの言葉にロイドは慌てた。 それに、クラトスは溜息をついた。 「慌てるな。何処かにシステムを解除するスイッチがあるはずだ」 リフィルは素早く文字盤を叩くと、カードシステムを解除するスイッチの場所を調べる。 「……あったわ。この左右の通路の先に二つのスイッチがあるでしょ。これが解除スイッチよ」 右側にある地下室の両側の通路の先にマークが現れた。 その場所にスイッチがあるのだ。 「どうやら、街の人たちもこの地下室にいるようね」 「んじゃ、早速システムを解除しに行こうぜ!」 「少し待って。クヴァルのいる部屋に行くためのルートを洗い出すから」 今にも部屋から飛び出してしまいそうなロイドにリフィルは、そう言うと再び文字盤を操作する。 管制室へのルートが次々と立体映像に表示されていく。 が、突然、部屋にある赤いランプが光りだし、辺りに警告音が鳴り響いた。 「まずいわね。メインコンピュータにアクセスしたのがバレたようだわ」 それにリフィルは唇を噛んだ。 それを聞いたジーニアスは慌てた。 「どうするのロイド! すぐにディザイアンが飛んでくるよ!!」 「くっそ……」 「……仕方ないわね。システム解除班と進入班に分かれましょう」 リフィルは、ルークたちに向き直すとそう提案した。 「え〜〜っ! バラバラになるの?」 「それしかないだろう」 不満そうなジーニアスにクラトスは、そう言い放つ。 「まぁまぁ、ジーニアス。ところで、システム解除班は街の人たちの救出もするんですよね?」 「ええ。そうなると思うわ」 ルークの問いにリフィルは頷いた。 「だったら、あたしは地下に行くよ。あたしが顔を出した方が安心するだろうしね」 リフィルの言葉を聞いて、しいなはそう決心した。 「私も地下に行きます。どうして呪いが起こるのか、解明しなければいけませんし。既にエクスフィアを埋め込まれていたとしたら、助け出したとしても、怪物に変わってしまうわ。何か仕掛けがあるはずです」 続けてそうリフィルは言った。 それにロイドは頷いた。 「わかった。俺は、クヴァルのところへ行く。母さんの仇を討ちたいんだ」 左手にあるエクスフィアを見つめてロイドはそう言った。 あいつだけは、この手で決着つけなければいけない。 そうしないと、前に進めない気がした。 「私、ロイドについていきます。……止めてもダメだよ、ロイド? これは、神子の決定なんだから」 「ならば、私も決まったな」 クラトスは、ロイドを見ていった。 「私の仕事は神子の護衛だからな」 「ボクは……」 「あなたは私と来なさい、ジーニアス。戦うよりも、あなたの柔軟な発想が必要になるかもしれませんから。わかりましたね?」 「……はい」 有無を言わせぬリフィルの言葉に少し不満そうにジーニアスは答えた。 この段階でどちらに行くか決まってないのは、ルークだけとなった。 「ねぇ、ルークはどっちに行くの?」 「えっ? えっと、俺は……」 ロイドたちとクヴァルを倒したいとは思うが、ルインの人たちを助けにも行きたい。 非常に迷う。 「……やっぱり、戦力を考えると、俺はリフィルさんたちと行動する」 かなり迷った結果、ルークはこの結論付けた。 「やった! ルークと同じだ!!」 「よかったわ。あなたがこっちについてきてくれて、心強いわ」 ジーニアスとはガッツポーズを取り、リフィルはホッとしたような表情になった。 「……ロイド、頑張ってな」 「ああ。最終的にはクヴァルのいる管制室で落ち合おうぜ!!」 ルークの言葉にロイドは、力強く頷いた。 「行くぜ! コレット! クラトス!!」 「うん!」 「ああ」 コレットとクラトスの返事を聞いたロイドはクヴァルのいる管制室を目指して、走り出した。 Symphonyシリーズ第2章第10話でした!! 再び、牧場へ侵入したルークたちww ゲーム同様に二手に分かれました。 本当は、ロイドたちと一緒に行きたかったのに、ルークはやさしいから、リフィルたちと一緒に行動します。 ロイド、残念でしたw H.19 10/25 次へ |