―――――おね……い。たす……けて……。

夢の中で響く声。


それは、これから起こる出来事の始まりでしかなかった。








〜Symphony The World〜








「ご主人様! 起きるですの!」


「うっ……」

ミュウの声でルークは目を覚ました。

「……おはよう、ミュウ」


「おはようですの! ご主人様!」


「やっと、起きたか。ルーク」

ルークは声がする方へ向いた。


そこにいたのは、自分と同じ顔をした彼だ。

「アッシュ。……おはよう」


「ああ、おはよう。ルーク」

ルークはそう言うと、アッシュは優しく笑って言った。

「何がおはようですの! もう、昼前ですのよ! ルーク!!」


「ナ、ナタリア!? どうして、ここに!?」


「あら? 私もいるわよ、ルーク」


「俺もいるぞ」


「アニスちゃんもいるよ〜☆」


「……はやり、ここを最後に訪れて正解だったようですね」


「ティア、ガイ、アニス、それにジェイドまで!?」

自分の部屋にティアたちがいたので、ルーク心底驚いた顔をした。

「ボクがティアさんたちを呼んだんですの!」


「お、お前が!? また、なんで!?」

ミュウの発言に、さらにルークは驚いた。

「ご主人様! 助けてくださいですの! ボクのおうちが変なんですの!」

















チーグルの森。


そこにルークたちは訪れていた。

「なぁ、ミュウ。家が変ってどういう意味だ?」

ルークは自分の肩に乗ったミュウに話し掛けた。

「……三日前から、ボクのおうちが赤くなったんですの」


「はぁ!?」

ミュウの言葉にルークは驚きの声を上げた。

「樹が赤くなったって……そんなことありえるのかよ!?」


「私たちも初めは信じられなかったんだけど……」


「嘘じゃないですの! 信じてほしいですの!」

ルークやティアの言葉にミュウは必死で言った。


その様子を見ると、とても嘘を言っているようには見えない。


そうティアは判断したらしい。

「さぁ、おしゃべりしている間に着きまし――」

ジェイドが変なところで言葉を切った。


それを不思議に思った、ルークはソイルの樹を見た。

「……本当に、樹が赤いわ」

そこに広がった光景は、燃えるように赤くなったソイルの樹だった。

「ほんっと、信じらんな〜い!」


「……本当ですわ」


「だから、そう言ったのですの!」

アニスとナタリアの反応にミュウは、何故か誇らしげにそう言った。

「……でも、どうして赤くなったんだろう?」

ルークはソイルの樹に近づくと樹に触った。

―――――助けて!


「えっ?」

樹に触った途端、頭の中に声が響いた。

―――――お願い……助けて!!

その途端、ソイルの樹が赤い光を放った。

「みゅう!?」

ミュウはそれに驚き、ルークの肩から転げ落ちた。

「ルーク!!」

アッシュはすぐさま、ルークに駆け寄り、ソイルの樹からルークを遠ざけようとした。


だが、ルークの手は何故かソイルの樹にしっかり張り付いて、離れなかった。

「クソっ! 一体、どうなってやがるんだ!!」

アッシュはそれに焦ったが、何とかルークの手を離そうとした。

「………呼んでいる。……俺……行かないと」


「何?」

ルークが何を呟いたのをアッシュは聞き取ることが出来なかった。


すると、ソイルの樹の光がルークに移り、赤い光がルークを包み込んだ。

「ルーク、しっかりしろ! ルーク!!」

アッシュがいくらルークに呼びかけても、ルークは答えなかった。


そして………。

「き、消えた!?」

一瞬、光が爆発的に光ったかと思ったら、そこにはルークとアッシュの姿は何処にもなかった。

「……嘘……ルークっ!」

その状況にティアは思わず、座り込んでしまった。

「……一体何が起こったんだよ」


『間に合わなかったか』

すると、そこに一つの人影は現れた。


アッシュに似た燃えるような紅の長髪に翡翠の瞳の男が立っていた。

「あなたは……ローレライですか?」

その容姿から、ジェイドは推測してそう言った。

『あぁ、そうだ』

ジェイドの言葉にローレライは頷いた。

「間に合わなかったとは、一体どういう意味ですの? ルークとアッシュは一体……」

ナタリアはローレライに問いかけた。

『……ルークとアッシュは、もうこの世界には……いない』


「そ、それって、ルークとアッシュは死んじゃったってこと!?」

ローレライの言葉にアニスは驚きが隠せなかった。

『いや、それとは違う。ルークとアッシュは、異世界へ飛ばされたのだ』


「……異世界ですか? それは一体、何処なんですか?」


『……それは、我にもわからぬ』

ジェイドの問いにローレライは暗い表情を浮かべて言った。

「ルーク……アッシュ……」

ティアは祈るように、二人の名前を呟いた。


どうか、二人が無事でありますように……。


























新シリーズのプロローグでした!!
ハイ、今回はルークとアッシュを別の世界に飛ばしてみました!!
もう、完全にパラレルですね〜wwww
何処の世界に飛ばしたかは、タイトルを見てもらうとわかりますよね?
これから、連載頑張ります!!


H.19 1/30



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