―――――おね……い。たす……けて……。 頭の中で響き渡る声。 それは、いつも聞くアッシュの声でもローレライの声でもなかった。 哀しみが込められた女性の声だった……。 〜Symphony The World〜 「うっ……」 ルークは目が覚めると、寝ていた身体を起こした。 「……ここは?」 ルークは辺りを見まわしたが、そこにアッシュたちの姿は何処にもなかった。 俺はチーグルの森にいたはずなのに、全然違うところにいた。 辺りは平地が広がっているが所々森もあった。 その風景は何処にでもある風景のはずなのに、何故か違う感じがした。 「きゃあっ!」 すると、近くの森から少女の声が聞こえてきた。 「なんだ?」 もしかして、魔物に襲われているのだろうか。 ルークはそう思い、声が聞こえた方へ急いで走った。 「こ、来ないで……」 少女は複数の魔物に囲まれていた。 少女は何かを感じ取り、仲間がとめる声も聞かず走ってきた。 その結果、こんな状況に陥ってしまったのだ。 (どうしよう……怖い) 今まで、何度も魔物に襲われてきたが、こんなに多くの魔物を相手にしたことなんてない。 それに、いつもは心強い仲間がいてくれたが、今は一人だ。 少女は手に持っている武器を力強く握った。 その途端、一匹の魔物が少女に襲い掛かってきた。 もうダメかと思い、少女は目をつぶった。 そのとき――。 「――――双牙斬!」 声が聞こえ、目を開けるとそこには、自分に襲い掛かってきたはずの魔物が倒れえていた。 そして、目の前に広がったのは赤。 まるで、夕焼けのような赤い長髪が美しく揺れていた。 「……まだ、やるか?」 ルークは他の魔物に剣を向けた。 すると、魔物はルークの強さに怖気づいたのか、一目散に逃げていった。 「へへっ、ちょろいぜ!」 ルークはそう言うと、剣についた血を振るって落とし、鞘へと収めた。 「大丈夫か?」 ルークは少女へと視線を移し、そう言った。 少女はプラチナブロンドの長髪に蒼い瞳をしていた。 衣服は、自分が知っているローレライ教団の法衣とは何処なく違い、白地に青い縁取りの法衣だった。 そして、胸元には少女の白い肌に吸い付いているかのように赤い宝石の周りに黄金の飾りがついていた。 「助けていただいて、ありがとうございます」 少女はその宝石の前で手を組み、ルークにお礼を言った。 「いいよ、お礼なんて。困ったときはお互い様だし。怪我がなくてよかったよ」 それにルークは笑って答えた。 「私――」 「コレット!!」 少女が言葉を言い終わる前に誰かが少女の言葉を遮った。 声が聞こえたほうへと視線を向けると、短く刈って立てた髪と同じ鳶色の瞳を持つ少年がこちらに走ってきた。 「ロイド!」 少女がそう呟いた。 それが、彼の名前だろうか。 「いきなり走り出して、どうしたんだよ! 心配したじゃないか!!」 「ごめんね、ロイド。でも、この人が助けてくれたんだ」 少女の言葉にロイドは自分以外に人がいたこのにやっと気付いたようだ。 「凄いんだよ! 魔物を一撃で倒しちゃうんだよ!!」 「い、いやっ! そ、そんなことないよ///」 少女の言葉にルークは思わず赤面してしまった。 どうも、俺は人に褒められることには慣れないようだ。 「あっ! そうだ!! 君たち、ここが何処だかわかる? えっと……」 「ロイドだよ。てか、人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るもんだぜ?」 「あっ! そっか、ごめん」 ルークはロイドの言葉に素直に謝った。 「俺の名前はルーク。よろしくな!」 ルークは人懐っこい笑みを浮かべてそう言った。 「私は、コレットです。よろしくね、ルーク」 それにコレットも、笑みを浮かべて答えた。 「……確か、さっきオサ山脈の山道を越えたばかりだったよな?」 「うん、そうだよ!」 ロイドの問いにコレットは頷いた。 (オサ山脈……?) 俺の知らない山脈の名前だ。 俺は世界を旅して、もう知らない場所なんてないはずなのに……。 「? どうしたの、ルーク?」 コレットは、ルークの顔を見て不思議そうに首を傾げた。 「……あっ、あのさ」 もしかしたらと思い、ルークは聞いてみた。 「ここって、惑星オールドラントだよね?」 「はぁ? 何言ってるんだ?」 ルークの問いにロイドは首を傾げた。 「ここは、『シルヴァラント』だろ? 大丈夫か?」 「!?」 ロイドから放たれた言葉にルークは驚いた。 ここは、俺がいた世界じゃない。 どうやら、俺はこのシルヴァラントという世界に飛ばされたようだ。 一体、俺はこれからどうすればいいのだろう? Symphonyシリーズ第1章第1話でした!! ハイ!ルークがロイドたちのいるシルヴァラントにやって来ました!! そして、すぐにロイドとコレットに遭遇。カッコイイよ!ルーク!! そして、ロイドにはやっぱりあの台詞を言わせてしまったよww ルークだったら、こんな反応しそう。 H.19 1/30 次へ |