「……なぁ、ロイド」 「う? なんだ?」 宿屋の部屋に着いた途端、ロイドはルークに話しかけられた。 「ロイドの左手に付いている青い宝石みたいなものは何なの?」 〜Symphony The World〜 「それってエクスフィアのことか?」 「エクスフィア?」 「そっか。ルークは、エクスフィアのことも知らないんだよね?」 「う、うん。……なんかロイドたちがそれを付けてるから、なんでかなぁって思ってさ」 「う〜んとね。エクスフィアって言うのは簡単に言えば、増幅器かな?」 「増幅器?」 「そうよ。エクスフィアは私たちの潜在能力を引き出す増幅器なの。だから、人によって効果が違うのよ」 リフィルは、そう言った。 「俺だと、普通より早く動けたり、視力がよくなったり、傷が速く治ったりするな」 「ボクの場合は、マナの変換効率、つまり少ないマナで強力な魔術が、使えるようになったんだよ」 「へぇ〜」 ロイドとジーニアスの言葉をルークは、目をキラキラさせながら聞いている。 「でも、エクスフィアは、《要の紋》がなければ人体に有害なんだ。そして、その《要の紋》は、ドワーフじゃなきゃ製作できねぇんだ」 ロイドたちに話を聞いていると、要するにエクスフィアは俺の世界にあるC・コアに近いもののようだ。 「でも、エクスフィアは、ほとんどがディザイアンが所有しているのよ」 「じゃあ、なんでロイドたちは、エクスフィアを持ってるの?」 「私とクラトスは、ディザイアンから奪ったものだけど……」 ルークの問いに何故かリフィルは声が小さくなる。 「?」 「……これは、俺の母さんの形見なんだ」 「えっ!?」 ロイドの言葉にルークは、驚きの声を上げる。 「……ディザイアンは、これを奪おうとして母さんを殺したんだ」 ロイドはそう言いながら、エクスフィアを握り締めた。 「ごっ、ごめん……。俺、そうとは知らないで……」 「別にいいよ。ルークが悪いわけじゃないしな」 ルークが、申し訳なさそうにそう言うと、ロイドは笑ってそう言った。 「……うん。……ねぇ、それを触ってみてもいい?」 「ああ、別にいいぜ!」 ルークの言葉にロイドは、快く承諾してくれた。 ルークはロイドの言葉を聞くと、ロイドに近寄った。 そして、ルークは、ロイドの左手の甲についているエクスフィアに触った。 それは、ひんやりと冷たかったが、どこか暖かさを感じた。 そのとき――。 ズキン ――――ロイド! (えっ……?) 突然、頭痛がしたと思ったら、頭の中に女性の声が響き、映像が流れ出す。 女性は小さな子供を連れ、何かに追われている。 そして、女性は掴まり、手に付いていたエクスフィアを剥がされる。 すると、彼女は緑色の化け物と変化し、暴れまわる。 化け物が子供を襲おうとしたとき、魔物様な大きな犬のような生き物が化け物に必死に体当たりをした。 それによって、彼女は正気を取り戻したのか、化け物の動きが一変する。 ――――……あなた……お願い……私を……殺して……。 途切れ途切れに化け物は、言葉を紡ぐ。 その視線の先には顔は見えないが、一人の男が立っていた。 ――――……おね……が……い。この子を……殺してしまう前に……私を…………殺して! 苦痛な声で叫んだ後、彼女の意識は再び暗闇に飲み込まれ、子供襲う。 ――――アンナ! 男は叫び、剣を力強く握って、そして――。 ポタ 「ルーク?」 ルークの異変に誰よりも早く気付いたのは、傍にいたロイドだった。 ルークに呼びかけても、ルークは反応せず、ただルークの瞳から涙が零れ落ちるだけだった。 「ルーク!」 ロイドはさっきより、強い口調でルークの肩を触れて言った。 「あっ……」 ルークの手がエクスフィアから離れると、ルークはその場へと力なく膝をついた。 「どっ、どうしたの、ルーク!?」 ルークのその様子を見て、ジーニアスたちも驚いた表情を浮かべる。 「……ううん……なんでもないよ。ただ…………」 「ただ?」 「なんでかわからないけど……すごく……哀しいんだ……」 「…………」 ルークの言葉にロイドたちは何を言っていいのかわからず、黙った。 ロイドたちに言ってもわからないだろう。 自分の頭の中に浮かんだあの光景を。 きっと、あれがロイドのお母さんなんだろう。 彼女の気持ちが痛いくらい伝わってきた。 生きたい。 愛する人たちともっと生きたかった。 もう、それは叶わない。 だったら、私が守ろう。 愛しいわが子をずっと……。 涙が止まらなかった。 それは、自分が泣いているのか彼女が泣いているのかわからない。 でも、どうしてこんなものが見えてしまったのだろう。 このエクスフィアは、本当に何なんだろう。 Symphony第1章第7話でした!! ルークは今回エクスフィアについて教わり、そしてエクスフィアに疑問を持ちました。 なんか、ルークだったらエクスフィアから何か見えてもおかしくないなぁと思って書いてみました!! この辺でこの話を書いておかないと、後々だとかけそうにないので……。 H.19 3/18 次へ |