広場に面した大きな建物の一つが総督府だ。 護衛を外に残してドア親子と、緑色をした髪の若い男、そしてルークたちだけが中へと入った。 〜Symphony The World〜 部屋に入ったルークたちはメイド達が何も言わずにも用意された椅子へと腰掛けるように促された。 ルークたちが椅子へと腰を下ろすと、ドアはコの字配置された机にちょうど中央の席に、キリアはその隣においてある子供用の椅子に座った。 「ようこそおいでくださいました、神子様。この街に置かれている立場は既にご存知かと思われますが、私どもに出来ることがあれば、出来る限りお手伝いします」 「では、早速ですか……」 ドアの言葉にリフィルはそう切り出した。 「この街に保管されているはずの『再生の書』の閲覧の許可をいただけませんか? その所には封印の在り処が記されているはずなのです」 リフィルの言葉にドアは何故か困ったような顔をした。 「……ダメなんですか?」 それを不思議に思ったルークはドアに尋ねた。 「実は……」 ドアの隣に控えていた男が口を開いたが、それをドアは手を上げて遮る。 「よい、ニール。……神子様、実は『再生の書』は現在、この街にはないのです。ディザイアンと戦うための戦費にするため、ハコネシア峠の小屋にいる蒐集家に峠から持ち出さないこと条件に売ってしまったのです」 「売った!?」 クラトスを除いた全員が目を丸くした。 「お金に困ったからって『再生の書』を売るだなんて、バッカじゃないの!? これだから人間は……イテ!」 ジーニアスはリフィルに殴られ、頭を抱えた。 「静かにしなさい。……それで、その蒐集家に頼めば、書を見せてもらえるのですね?」 「それがあの男は変わり者で、何か条件を出されるかもしれませんが、それが叶えば……」 ドアの言葉にリフィルはルークたちのほうを向いた。 「……とにかく、その男に会ってみるしかなさそうね」 「ああ、他に手がかりがないみたいだしな」 「では、出発しよう」 リフィルとロイドの言葉にクラトスはそう言い、席を立つ。 それにつられてルークたちも席を立つ。 「お、お待ちください、神子様方。今から峠に向かっても、すぐに日が暮れます。今日のことでおそらく、報復のためにディザイアンも活動が活発になっているでしょう。私のほうで峠に一筆書きと、伝書鳩で峠に知らせましょう。ですから、今日のところは街の宿に泊まっていただいて、明日出発なさってください」 「……どうする?」 クラトスの言葉にロイドは肩を竦めた。 「いいんじゃないか? ディザイアンが報復に来たら、俺たちも手伝えるし」 「私も、ロイドの賛成〜♪」 「俺はもっと、この街を見てみたいなぁ」 ロイドの言葉にコレットとルークが言葉を続けた。 「三人が賛成なら、ボクも賛成だよ」 「……仕方ないわね」 リフィルは溜息をついた。 自分のことをキラキラした瞳で見つめているルークを見ると、とてもこれから出発しましょうとは言えなくなった。 その様子を見たドアはニールを呼び、すぐに宿屋を手配するように指示をする。 そして、ルークたちは部屋から出る。 その時、ルークは視線を感じ、振り返った。 そこにあったのは、にこやかに微笑む、ドア親子の姿だけだ。 「ルーク、何やってるんだ? 早く来いよ?」 「えっ? あっ、うん……」 ロイドに呼ばれたルークは、それが気になったが、とりあえずロイドたちの後を追った。 「? どうしたんだよ、ルーク?」 宿屋へ向かう途中、ロイドはルークに話しかけた。 「さっきから、俺とクラトスを見て? 俺とクラトスの顔に何か付いてるのか?」 そう、さっきからずっと俺とクラトスに向けられるルークの視線が気になり、思わず尋ねてしまった。 「えっ?」 それに、案の定ルークは、困った表情を浮かべ、そしてみんなの顔を見渡す。 「……ずっと、気になってたんだけど。……リフィルさんとジーニアスは姉弟なんだよね?」 「うん、そうだよ。当たり前じゃん」 ルークの問いにジーニアスはそう答えた。 「……じゃあ、ロイドとクラトスさんって……親子なの?」 「はあっ!?」 ルークの言葉に全員が驚きの表情を浮かべる。 「な、なに言ってるの、ルーク!? ロイドとクラトスが親子のわけないじゃん;」 ジーニアスは、少し呆れながらもルークそう言った。 「えっ? そうなの? ロイドとクラトスの髪と瞳が同じだし、二人ともどことなく似てる気がするけど?」 それに、ルークは首を傾げて言った。 「あ、あのねルーク; 髪と瞳の色が同じ人はたくさんいるのよ。それに、クラトスの歳からロイドの父親と考えるのは……」 「ああ! そっか!!」 リフィルの言葉にルークは、ハッとした表情になる。 リフィルとジーニアスはやっと理解してくれたかと思い、ホッとした。が、 「ロイドとクラトスは親子じゃなくて、兄弟なんだ!」 ルークの放った言葉にリフィルとジーニアスはガクッとした。 「もう! どうして、そういう考えになるんだよ!! ロイドとクラトスは、赤の他人なんだってば!!」 「えっ〜〜!!」 ジーニアスの言葉にルークは心底驚いた顔をする。 驚きたいのは、こっちの方なのに……。 「……ルークって面白いこというな。な、クラトス?」 「…………」 ロイドは苦笑してクラトスのそう言うが、クラトスから返事は返ってこなかった。 「クラトス?」 「……あ、ああ。そうだな……」 再度、ロイドがクラトスに呼びかけると、返事が返ってきた。 だが、明らかにこの声は動揺しきっている。 「? どうしたんだよ、クラトス? なんか変だぞ?」 「な、なんでもない。……それよりさっさと宿屋へ行くぞ!」 クラトスはそう言うと、さっさと歩いて行ってしまった。 「? 変なクラトス?」 何故、彼は私とロイドが親子だと思ったのだろう。 ロイドたちは、気付きもしなかったのに……。 そして、広場で見せたあの動き。 何一つ無駄のない動きで五聖刃の一人マグニスを倒した。 私でなければ、あれはとても出来ないことだろう。 もしかすると、彼は私たちの中で一番強いのではないだろうか。 彼は一体、何者なんだ? Symphonyシリーズ第1章第6話でした!! やってしまいました!ルークにあのことを言わせてしまいしましたよ!! だって、ルークだったら言いそうじゃないですかww 何気に、ボケまでかましてくれましたよ♪そして、クラトスさん!! ルークの存在に少し疑問を持ち始めました!!動揺するクラトスが面白いww H.19 3/12 次へ |