彼女は一体、俺に何を語りかけていたのだろうか?
その答えは、この世界にあるのだろうか?






〜Symphony The World〜








「ありえないわ、そんな話……」

イズールドの村の宿屋。
そこにルークはロイドの仲間達と共にいた。
「あなたが異世界から来ただなんて……」

肩の上あたりで左右に大きく跳ねて銀髪が揺れ、少し暗めの青い瞳が驚きで見開かれる。
彼女の名前はリフィル、コレットが住んでいた村イセリアで教師をしていた。

「姉さん、そんなに驚かなくても;」

その隣には、彼女と同じ銀髪と青い瞳の少年がいた。
彼の名前は、ジーニアスでリフィルとは姉弟である。
十二歳とは思えないほど、頭は賢い。

「きっと、ルークは頭を打っちゃって、自分が異世界から来たと思っているんだよ」
「おっ、俺は、本当に違う世界から来たんだって!」

ジーニアスの言葉に思わずルークは声を上げる。

「じゃあ、証拠は?」
「えっ?」
「異世界から来たって言う証拠はあるの?」
「そっ、それは……」

ジーニアスの言葉にルークは何も言えなくなった。

「ほら! やっぱり、ないじゃん!」
「うっ……;」

一体、どうしたら信じてくれるのだろうか。

「でも、私はルークの言うことを信じるよ」
「コ、コレット!?」

コレットの発言にジーニアスは驚いたような表情を浮かべた。

「だって、ルークは私のことを助けてくれたし、とても嘘をつく人には見えないよ。ね、ロイド?」
「あ? ああ……」

突然、コレットにロイドはふられたが、頷いた。

「確かに、ルークが言ってることは信じられないけど、こいつの目は嘘を言ってないぜ」

ルークの翡翠の瞳は何処までも純粋で、嘘をついてなどいない。

「……まぁ、どっちにしても、あなたはこの世界のことを何も知らないのね?」

リフィルの問いにルークはコクリと頷いた。

「うん、さっぱりわからないんだ」
「そう。……だったら、簡単に説明するわ。私達が旅をしている理由も」

















ルークはリフィルのこの世界で起こっていることを聞いた。
今から四千年前もの昔。
この世界は邪悪な闇の種族ディザイアンたちの引き起こした古代戦争があった。
伝説の勇者ミトスは聖地カーラーンで女神マーテルと契約を結び、ディザイアンを封印して戦争を終結させ、世界を救った。
だが、時が流れその封印が弱まり、この世界に再びディザイアンが現れ、人々に恐怖をもたらしているのだ。
ディザイアンは「人間牧場」というものを作り、人を家畜のように扱い、この世界の生命の源マナ(俺の世界で言う音素(フォニム)かな?)を搾取され、世界はこれまでにない厄災に襲われる。
このままではこの世界は衰退してしまう。
それを救う存在は天使の子「神子(みこ)」だ。
神子(みこ)は、女神マーテルの試練を乗り越え、世界を守る精霊を復活させる旅をする。
それによって、再びディザイアンは封印され、この世界にマナが満ち溢れ世界が訪れるのだ。

「これが世界再生の旅よ」
「……じゃあ、コレットは天使の子、神子(みこ)なのか?」
「うん! そうだよ! ほら、見て!」

ルークの問いにコレットは頷くと、コレットの背中に美しい羽が現れた。
その羽は、まるで朝日のような淡い赤い色をしていた。

「……すごい。すごいよ、コレット!」

それを見たルークは子供のように無邪気に笑った。
それは、ここにいる全員の気持ちを和ませるような笑みだ。

「あ、あのさ……。もし、よかったら俺も一緒に旅してもいいか?」
「えっ?」

ルークの言葉に全員が驚いた表情を浮かべる。

「話を聞いてたの? この旅は、多くの神子(みこ)が失敗している危険な旅なのよ。子供の遠足とは訳が違うのよ」

リフィルはルークを説得するかのようにそう言った。

「うん、わかってる。でも、俺はこの世界のことをまだよく知らない。だから、この世界のことをもっと知りたいんだ。そうしたら、なんで俺がここに来たのかわかるかもしれないし……」

この世界へ来た理由。
この世界でやらなくていけないことを知りたいのだ。

「よし、だったら一緒に行こうぜ!」
「ロ、ロイド!?」

ロイドの言葉に、ジーニアスは驚きの声を上げる。

「いいじゃんか。旅は大勢の方が楽しいし」
「だけどっ!」
「だったら、ルークのこのまま置いていくのかよ。この世界のこと何も知らないのに? そっちの方がひどくねぇか?」
「そっ、それは……」

ロイドの言葉にジーニアスは、何も言えなくなった。

「……確かに、ロイドの言うことは正しいわね」
「ルークと一緒に旅が出来るんだね。嬉しい〜」

リフィルは納得したように、コレットは嬉しそうにそれぞれ言った。

「それでいいよな、クラトス?」

ロイドは、部屋の隅の壁に凭れ掛かっている男に話しかけた。
彼は、ロイドと同じ鳶色の髪と瞳をしていた。
クラトスと呼ばれた彼はロイドとルークを見ると溜息をついた。

「…………好きにすればいい」

冷たい口調でそう言ったが、何処が優しさも含まれていた。

「よぉし! 決まりだな! これから、よろしくなルーク」

ロイドは笑ってそう言った。

「うん! よろしくな。……ところで、これから何処に行くの?」
「ここは港村みたいだから、船でパルマコスタに向かうんだよ。そこで、次の目的地を調べるんだよ」

ルークの問いにジーニアスがわかりやすく説明してくれた。

「そういうこと、さっさと船を出してもらおうぜ」

こうして、ルークたちは次の目的地、パルマコスタを目指して船に乗った。
























Symphony第1章第3話でした!!
今回はルークがシルヴァラントについて少し勉強しました!!
リフィルさんの反応は当たり前ですよねwwいきなり、そんなこと言われて信じる方が難しいですし。
でも、ロイドとコレットはちゃんと信じてくれます!!いい人たちですよ!!
次回、ルークたちはパルマコスタに到着します!!


H.19 2/9



次へ