ルークとロイドは、マグニスに向かって床を蹴った。 そして、ロイドがルークより速くマグニスへと突っ込んだ。 〜Symphony The World〜 「――――獅子戦吼!」 「――――獅子戦吼!」 ロイドとマグニスは、ほぼ同時に技を出した。 二つの獅子の気が噛み合い、打ち消しあう。 「うおおぉぉぉ!」 気が消えた途端、マグニスがロイドに向かって斧を振った。 それをロイドは何とか避けた。 だが、マグニスの攻撃はそれだけでなく、すぐに蹴りが飛んできた。 ロイドは、それを咄嗟に剣の柄で受け止めたが、床に転がされた。 その背中にマグニスの斧が近づく。 「――――魔神拳!」 「があっ!」 そこへロイドを助けるため、ルークはマグニスに衝撃波を喰らわした。 「き、貴様っ!」 マグニスはルークへと標的を変え、突進する。 それをルークは、ヒラリとかわす。 それは、まるで舞いを踊っているかのように、夕焼けのように赤い長髪が美しく揺れる。 「くそぉ! なめるなぁ!!」 そこへマグニスの斧が飛ぶ。 ルークは、剣で斧を受け止めた。 金属音が辺りに響き渡った。 「ルーク! どいて!!」 ジーニアスの声が聞こえ、ルークはマグニスから距離をとった。 「いけぇ! ――――ライトニング!」 球がすとんと、剣玉の尖った部分に収まったと同時にその手を振り上げジーニアスは叫んだ。 すると、マグニスの頭上に電撃が落ちた。 電撃が落ちると辺りは煙に包まれ、マグニスの姿が見えなくなった。 「やったか!」 それを見たロイドは、思わず声を上げる。 だが、立ち込めた煙が消えるとそこには、ピンピンとしているマグニスの姿があった。 「うっ、うそ……」 それを見たジーニアスは、驚きの声を上げる。 「この程度の電撃で俺様を倒せるとでも思っていたのか! 笑わせる!!」 マグニスは。ジーニアスを見て嘲笑った。 (あれ……?) ルークは、マグニスのほうを見た。 何だろう、この感じは……。 これに似たものを俺の世界で感じたことがあった。 それは、ジーニアスが魔術を発動させた途端、感じた。 (もしかしたら!!) 「ジーニアス! さっきと同じのをあいつの近くで発動させて! あいつに当たらなくてもいいから!」 「えっ?」 ジーニアスはルークの言葉にポカンとした顔でルークを見て、言った。 (当たらなくてもいいからって、どういうことだろう?) 「早く!!」 「うっ、うん。……わかったよ!」 訳がわからないまま、ジーニアスはルークに言われたとおりに剣玉でリズムを取り始める。 「……いけぇ! ――――ライトニング!」 ジーニアスがそう叫ぶと、マグニスの近くに雷撃が落ちる。 すると、ルークは素早くその位置へと駆け寄る。 それを見たマグニスは斧を構えた。 「――――崩襲脚!」 ルークは技を繰り出したが、そこにはマグにスはおらず、地面へと蹴りを喰らわした。 「馬鹿め! 何処を狙って……!」 笑みを浮かべていたマグニスだったが次の瞬間、マグニスの表情は驚きのものへと変わった。 ルークとマグニスの周りに緑色の譜陣のようなものが出現したからだ。 「なっ、なんだ! これは!?」 (よしっ! うまくいった!!) 風のFOFを出現させることが出来た。 「受けよ雷撃!」 ルークは、そう言いながら思いっきり姿勢を低くした。 「――――襲爪雷斬!」 飛び上がりながら剣を振るった。 剣が空気中に静電気を発生させ、それがさらに静電気を呼ぶ。 雷撃と剣が同時にマグニスを襲った。 「ぐわあああぁぁ!」 マグニスの手から斧が零れ落ち、床へと転げ落ちた。 「まさか、こんな……小僧、に……」 マグニスは、その場に膝をついた。 剣で切り裂いたところから見る見るうちに血が溢れ出し、床を赤一色に染めていく。 「な、なぜだ。……優良種たる、ハーフエルフのこの俺が、豚である人間に……」 クラトスは、マグニスの前へと進む。 「それは、おまえが愚かだからだ、マグニスよ。クルシスは、コレットを神子として受け入れようとしている」 クラトスの言葉を聞いたマグニスの表情が変わった。 「何……!?」 「そうさ! コレットは、必ず世界を再生するんだ。おまえらなんかに負けるかよ!」 マグニスはコレットを見ると、悔しそうに奥歯を噛んだ。 「そうか、おまえが。……では、俺は……騙さ、れたのか……」 マグニスは、そう言うとバタリと床に倒れ込み、そして動かなくなった。 「騙されたって、どういうことだろう?」 「わからないわ」 ルークの言葉に答えたリフィルは装置をと近づき、操作を始めた。 すると、ニールたちが閉じ込められていた部屋の扉が開き、脱出を始める姿がスクリーンに映った。 「よかった……」 それを見たコレットは、ホッとしたように息をついた。 「ロイド、あれ!」 ジーニアスの声を聞こえてロイドは、振り向いた。 そこには、ひとつのスクリーンがあり、ショコラが奇妙な機械に乗せられるところが映し出された。 その機械は、ふわりと浮き上がると、そのままスクリーンから聞こえて見えなくなった。 「……ちくしょう」 「もういいわね? なら、ここを自爆させます。……よろしい?」 「自爆!? マジかよ!?」 リフィルの言葉にロイドは、思わず声を上げた。 「姉さん、そんなことをしたら……」 「少なくとも、この辺のディザイアンの勢力は減退するでしょうね。……叩くなら、徹底的にやるべきです」 「でっ、でも、姉さん!」 ジーニアスの声に装置を操作していたリフィルの指は止まった。 「……忘れないで、ジーニアス。彼らと私たちは違う……違うのよ」 「…………」 リフィルの言葉にジーニアスは、それ以上何も言わずに俯いた。 二人のやり取りの意味がこのときのルークにはわからなかった。 リフィルは再び操作を始め、それが全て終わるとリフィルは振り向いた。 そのときにはいつもと同じ笑みを浮かべていた。 「自爆時間を十分後にセットしました。急いで脱出しましょう」 こうして、ルークたちは牧場を後にした。 ルークたちが管制室を去った後、マグニスは立体映像通話装置へと身体を引きずり、その操作盤へと腕を伸ばした。 その時、まだ操作もしていないのにひとつの立体映像が現れた。 『おやおや、マグニス。……フォシテス様に連絡を取られては困りますなぁ。ワシのやろうとしていることが、筒抜けになってしまいます』 「ロディル……てめぇ、よくも……よくも、このマグニ、スさまを、騙したな。……神子の、抹殺命令が、出て、いたのでは、なかったのか……」 『フォフォフォ。金塊集めといい、神子の抹殺といい、あなたは本当によく役に立ってくれましたよ。あの世に行っても、どうかお元気で』 そう言うと、ロディルは装置のボタンを押して、マグニスの通信を切断した。 「…………でも、おかげで面白いものが見れましたよ。あの赤毛の少年。本当に興味深いです」 ロディルはそう呟くと、不敵な笑みを浮かべた。 そのとき、パルマコスタの人間牧場の自爆装置が作動し、何もかもを吹き飛ばし燃やし尽くした。 Symphonyシリーズ第1章第14話でした!! やっちゃったよwwもう、なんでもありですねww FOFを発動させちゃいましたよvvでも、なんかルークなら出来そうじゃないですか? ちなみにアビスのゲームでは、ルークが雷神剣や岩斬滅砕陣でFOFを作った後、 FOFの中に崩襲脚で飛び込むと 色つきのFOFが出来るそうですww 私は試したことないから、実際のところわかんないけど;(・_・;) 次回で、第1章完結です。 H.19 5/29 次へ |