パルマコスタを後にして数日、ルークたちはパルマコスタの人間牧場へと辿り着いた。
ルークはロイドたちの計らいに寄ってノイシュの背に乗って移動したため、かなり体調のほうはよくなった。
ルークたちは、一緒に来たニールと義勇兵たちを一時森の中に潜ませ、裏手へと周った。
ドアの言っていた通り、ディザイアンは正面口に兵を集中させていた。

「ルーク、総督に渡されたものを貸しなさい」
「あっ、はい」

ルークは、ドアに渡されたカードをリフィルに渡した。
リフィルは、それを機械へ差し込んだ。
そして、ドアから聞いた認証番号を入力する。
すると、裏口の金属で出来た扉がゆっくりとスライドし、開いた。






〜Symphony The World〜








「すげぇ……行こう、先生」

思わず、呆気にとられたロイドだったが、すぐに気持ちを切り替えてリフィルにそう言った。

「待って、もう少し情報が引き出せそうだから。…………出たわ」

リフィルがそう言うと、画面にこの建物の構造図らしきものが現れた。

「なぁ、ジーニアス。どういう仕組みなんだ、これ?」
「ボクにもわからないよ。ただ、古代遺跡や記録に残っている、魔科学みたいだけど……」
「魔科学? それって何?」

聞き慣れない単語にルークは、ジーニアスに質問した。

「魔科学は、魔術を使った機械文化のことだよ」
「「へぇ〜」」
「へぇ〜。って、なんでロイドまでルークと同じ反応してるのさ。授業で習っただろ!」
「そうだっけ?」

ジーニアスの言葉にロイドは首を傾げる。

「そうなの! ……でね、その昔はマナを変換して得たエネルギー使って、人間は空を飛べたりしてたんだよ」
「嘘つけ」

ジーニアスの言葉にロイドは、思わずそう言った。

「ホントだって! ね? 姉さん」
「ええ、本当よ」

リフィルは、画面から目を離さずそう言った。

「ディザイアンは、失われたはずの魔科学を生きた技術として使っているわ。どうしてかはわからないけど。……さぁ、出たわ。ここが、私たちが今いる位置のようね。そして、ここが囚われた人々が閉じ込められている場所のようね。まずは、ここへ向かいましょう。そこへ続く扉はすべて開放して、固定しておきます」

リフィルは、そう言って再び操作をする。

「……これで、いいわ」

操作を終えると、リフィルは溜息をついた。
それを見たロイドは森へと合図を送る。
すると、森に隠れていたニールたちが一斉に現れ、ルークたちを先頭に無言で人間牧場へと突入した。
















「! きさ……」

目的地に辿り着いた途端、ルークたちはディザイアンと接触した。
仲間を呼ばれる前にクラトスは、素早くディザイアンを殺した。
何の躊躇いもなく。
それは、出会ったばかりのジェイドのようだった。
人の死を理解できなかった彼のようだ。
ニールの命令で義勇兵たちは、次々と牢を解放していった。
だが、この牢を見てもショコラの姿は何処にもなかった。

「誰か、パルマコスタの道具や『パルマツールズ』のカカオの娘、ショコラを知らないか?」
「それならついさっき、マグニスのところに連れて行かれてしまったよ……」
「くそっ! 一足遅かったか! ……ニールさん。俺たちはショコラを追う。あんたたちはこのまま脱出してくれ」

ロイドの言葉にニールは頷いた。

「わかりました。神子(みこ)様たちもお気をつけて」
「はい。ありがとうございました」

こうして、ルークたちはニールたちと別れて、マグニスがいる管制室を目指した。

















「ル、ルーク!?」

管制室を目指して、数回転送装置に乗るとルークはいきなり走り出した。
その先にあるもの、それはディザイアンに引き摺られて転送装置に乗ろうとしているショコラだった。

「いやよ! 放して!!」
「――――崩襲脚!」

ルークは、ディザイアン目掛けて蹴りを食らわす。
それは見事にディザイアンに命中した。

「き、貴様ッ!」

だが、ディザイアンは、もう一人いて、ルーク目掛けて斧を振り落とす。

「させるかっ!」

それを見たロイドは双剣を素早く抜き、ディザイアンが斧を振り落とす前に斬り付けた。
ロイドの攻撃にディザイアンは呆気なく倒れた。

「ルーク! ショコラ! 大丈夫か!!」
「うん! 大丈夫だよ! ありがとう、ロイド!!」

ロイドの言葉にルークは、笑みを浮かべてそう言った。

「あ、あなたたち……助けに来てくれたの?」
「うん、怪我はないみたいだね」
「ええ、大丈夫。……神子(みこ)様、皆さん、本当にありがとうございます」

ショコラは、深々と頭を下げた。

「お礼ならいいよ。困ったときは助け合わなくちゃ」

ルークが笑みを浮かべてそう言うと、ショコラも少し笑みを浮かべた。

「さて、どうする? ニールは既に脱出を始めているだろう。戻ってこの娘を合流させるのであれば、誰かを護衛につけるしかないが。全員で一度、戻っていては、マグニスに反撃の機会を与えることになりかねん」
「そうだね……。だったら――」
「私も連れて行ってください!」

クラトスの言葉を聞いてルークが言いかけると、ショコラはそれを遮った。

「ニール様がいらしたと言うことは、ドア様がいよいよ動き出したんでしょう? 私も戦います!」
「でも、危険よ?」

そんなショコラを諭すようにリフィルは言った。

「承知の上です」
「……連れて行こう」

ショコラの言葉を聞いたロイドは、静かにそう言った。
「ここで戦力を割るのはまずいと思うし、かと言って一人で帰すのも不安だ。だったら、連れて行くしかない」
「どうする、神子(みこ)?」

ロイドの言葉を聞き、クラトスはコレットへと視線を向けた。

「私はロイドの意見に賛成です。私、頑張りますから」

コレットは、力強い瞳でクラトスを見つめ返した。

「…………」

それを見たクラトスは無言のまま、転送装置へと向かった。
それは彼なりの承諾を表していた。

「……やっぱり、似てるなぁ〜」
「えっ? 何が?」

ルークの独り言にジーニアスは首を傾げる。

「えっ? なっ、なんでもないよ; それよりさっさと行こう!」

焦りながらもルークはそう言うと、クラトスを追って転送装置に乗った。
それに続いてロイドたちも転送装置に乗った。
全員が乗ったことを確認するとルークは床を蹴り、転送装置を作動させた。
























Symphonyシリーズ第1章第12話でした!!
な、なんか、ルークとロイドは同じ反応しそうだなぁと思って書いてみましたww
それを突っ込むジーニアスがまたおもしろいですww
ルークが言った似てる人物はアッシュだろうか?ジェイドだろうか?私もよくわかりません;(おい!!)


H.19 5/3



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