森林地帯 アッシュはその上空を魔物に乗って移動していた。 すると、アッシュはふと視線を下に移すと彼を見つけた。 金髪と青い瞳を持った幼馴染の彼の姿を……。 〜Shining Rain〜 「……ったく、ルークの奴。一体何処にに行ったんだよ」 ガイはそうボヤキながら森林地帯を歩いていた。 ルークが突然、屋敷から消えてあの日、ガイはファブレ公爵の命令でルークの捜索に屋敷を出た。 ルークがマルクトの領地へと飛ばされたことがわかったので、ガイは陸づたいにケセドニアからマルクトへと入った。 だが、紅い長髪と翡翠の瞳を持つ少年を見かけたと言う情報は、今のところ入っていない。 あの容姿だ。 外を歩けば、一際目立つ。 だから、すぐに見つかられると思っていたが、そううまくいく訳はなかった。 「……どうするか。……とりあえず、一番近くのセントビナーで情報を集めるか」 ガイはそう独り言を呟くと、踵を返してセントビナーへと歩き出した。 (まずいなぁ……) ガイの様子を見ていたアッシュは焦った。 ガイがセントビナーのほうへと歩き出し、タルタロスから遠ざかっていくからだ。 あの時、ガイが現れなかったら、俺たちはまた捕まっていただろう。 このまま、ガイをセントビナーに行かせたら、『アッシュ』たちが危ない。 「……ごめん、ちょっと下ろして」 そう考えたアッシュは、すぐに魔物に話しかけた。 魔物はアッシュの言葉に答えて、地上に静かに下りた。 「ありがとう。すぐに戻ってくるから、ここで待ってて」 アッシュは魔物を優しく撫でると、走り出した。 ガイを連れていかないと……。 『アッシュ』のいる、タルタロスへ……。 ガサガサ 「? ……なんだ?」 不自然に草むらが揺れたので、ガイの眼つきが変わった。 (……魔物か?) そして、腰のある剣をいつでも抜けるように体制を整えた。 ガサガサ 再び、草むらが揺れたとき、そこから現れたのは魔物ではなかった。 美しい夕焼けのように赤い長髪だ。 「ルーク?」 それは、自分がずっと探していたルークだ。 彼は自分の背を向けているが間違いない。 「ルーク!」 ガイは彼に呼びかけたが、彼はそれを無視し、ある方向へと走り出した。 「あっ! お、おい! 待てよ、ルーク!!」 それを見たガイは、彼を追って走り出す。 だが、いくらは言っても彼との距離は一向に縮まらない。 ルークはこんなにも足が速かっただろうか。 「ルーク!!」 「…………」 再び、彼の名を呼ぶが、結果は同じだった。 なので、ガイは何とか彼を見失わないように走った。 すると、突然自分の前に走っていた彼の姿が消えた。 (見失った……?) 焦ったガイは、とりあえずさっきまで彼がいた位置へと行く。 すると、そこに広がった光景は強大な軍用艦。 その近くに数名の兵士がいた。 そして、その中に燃えるような紅い長髪と翡翠の瞳の彼がいた。 間違いない、ルークだ。 ガイはルークを助け出そうとルークたちから見えないタルタロスの裏側へと走り出した。 「よかった……」 ガイが『アッシュ』を助け出すのを見たアッシュは安堵の表情を浮かべた。 ――――ルーク!! さっき、ガイは俺に向かって叫んだ声が耳から離れない。 もう、それは俺の名前じゃないのに……。 俺はその名前を『アッシュ』に返したのだから。 でも、その響きがとても懐かしく感じてしまった。 思わず、ガイの方へと振り返ってしまいそうになってしまった。 すると、背後から何か気配が感じた。 「……なんだ、お前か……」 剣を手に添えて振り返ると、そこにはあの魔物がいた。 「あそこで待ってろって言っただろう」 アッシュは剣から手を離して、魔物へと歩み寄った。 「待っていても、なかなか戻ってこないから迎えに来た」 すると、魔物はそうアッシュに言った。 「そうか……ごめんな」 アッシュは優しく魔物を撫でると、魔物の背に乗った。 「さぁ、いこうか」 「……もう、寄り道はなしか?」 「何だよ、寄り道って; ……もうないよ」 魔物の質問にアッシュは苦笑した。 「…………そうか。なら、しっかり掴まっていろ」 魔物はそう言うと、翼を大きく広げ、地を蹴り飛び立った。 そして、今度こそダアトへと向かって飛んでいった。 Rainシリーズ第2章第14譜でした!! お久しぶりに、ガイさん登場です!! それにしても、ガイさんはダメですね〜アッシュとルークの区別がついてませんよ。全く。 でも、そのおかげでルークは助かったんですけどね〜。あ〜あ、ガイ様華麗に参上も書きたかったな〜 H.19 6/10 次へ |