答えよ そなたの望みは何だ? 星の運命を変えたもう一人の私よ。 そなたの願いを叶えよう……。 〜Shining Rain〜 永遠に続きそうな純白の世界。 ルークはそこにいた。 『ルーク、そなたの望みは何だ?』 声というより、音に近い声がルークに語りかける。 自分と同じ存在の彼。 第七音素の集合体のローレライだ。 「俺の望み?」 『そなたには、助けてもらった。だからお礼にそなたの願いを叶えたい』 「俺の願い……」 ルークは、ふと視線を下に向ける。 自分の腕の中にいる彼を。 自分とローレライと同じ存在の彼。自分の被験者 (アッシュ……) 眠ってるように見えるのに、アッシュの体は氷のように冷たかった。 もうアッシュは目を開けることはない。 あの綺麗な翡翠の双眸を見ることができない。 「……アッシュを生き返らして欲しい」 『それは出来ぬ』 ローレライは、即答した。 『そなたがアッシュの身体を使って地上に戻ることは、できるが、アッシュを生き返らせることは不可能だ』 「なんでだよ!!」 ルークは、苦しそうな声で言った。 『もう、この世界にアッシュの魂は存在しないからだ』 「…………」 アッシュは音素乖離を起こす前に、神託の盾のレプリカ兵に刺されて死んだ。 その為、本来なら大爆発が発生してルークはアッシュに記憶だけを残して消えるはずだったが、それが出来なくなった。 「そんなこと、わかってる……。けど……それじゃ意味がないんだよ……っ!」 俺だけが帰っても意味がないんだ。 アッシュと一緒に帰らないと……。 それに、俺のせいでアッシュは本当の居場所を七年間奪われた。 その七年間は返せないかもしれないが、あの居場所だけはアッシュに返したい。 それに、アッシュのいない世界に戻るのはいやだ。 アッシュと共に生きたい……。 『……仕方ない』 ローレライは溜息をつくと何かを決意したように行った。 『あまりしたくないが、時間を戻そう』 「? どういう意味だ?」 『今の時間からルークが生まれた時間まで戻す』 「そ、そんなこと出来るのかよ!?」 『出来ないことは、私は言わないつもりだが?』 「でも……」 ルークは口ごもる。 「もし、その時間に戻ってもまた同じ結果になるかもしれない……」 そうなったら、またアッシュが死んでしまう。 そんなの、もう二度と見たくない。 『ならば、そなたとアッシュの運命を入れ替えよう』 「えっ? それってどういう意味??」 ルークはローレライの言っている意味がわからなかった。 『つまり、そなたが六神将のアッシュ、アッシュをルーク・フォン・ファブレとして生きるように変えるということだ。だが、それをすれば、そなたが死ぬかもしれないぞ』 俺がアッシュとして生きる……。 確かにそれなら、アッシュが死ぬ確立もグッと減るだろう。 それに、自分が奪ってしまった七年間もこれなら返すことが出来る。 『……私の出来るのは、ここまでだ。 後は、どうするかはそなたが決めよ』 少し、ローレライの声が哀しそうに聞こえた。自分のことを心配してくれているのだろう。 「……わかった。俺とアッシュの運命を入れ替えてくれ!!」 ルークには、もう迷いはなかった。 アッシュがそれで生きることが出来るならそれだけでいい。 『……大丈夫だ。そなたは、ユリアの預言を覆した。きっと、その運命の変えることが出来るはずだ。そなたは、決して死にはしない』 ローレライの声がとても優しく聞こえた。 「……ありがとう」 ルークはローレライに微笑んだ。 『……それでは、始める』 ローレライがそう言うと、ルークの腕の中にいたアッシュが光となって消えた。 そして、ルークも光となって消え始める。 (アッシュ……さようなら) 次に会うときは、アッシュはもうアッシュではない。 ルーク・フォン・ファブレなのだ。 (絶対、アッシュを死なせない。……必ず、運命を変えてみせる!!) 二人が共の歩める未来に出来るように……。 新シリーズ小説のプロローグでした!! 今回は六神将ルークの小説です!!しかも逆行で。 なんだか、この小説のローレライは冷たいなぁ〜。 もっと頑張れよ!!ローレライ!!そういう風に描いてるのは私ですけど(^_^;) これから、ルークがどうなるか楽しみにしてください!! H.19 1/30 次へ |