暗い。
ここは何処だろう。
でも、はっきりとは覚えてないが一度だけこれと同じような感覚を感じたことがある。
きっと、ここは…………。






〜Shining Rain〜








「ついに出来たぞ!!」
「これが、レプリカか……」

白衣を着た研究者らしき人物が口々に言った。
ふと、ルークはガラスに映る自分の顔を見た。
ガラスに映る自分の顔はとても幼い顔つきで、


髪の長さは自分の肩より少しのあたりまで伸びていた。

(……ほんとに、戻ったんだ。あの時に……)

自分が生まれたときに……。
ルークは立ち上がった。すると、研究者たちが騒ぎ出す。

「レプリカが立ったぞ!」
「すごい! 生まれたばかりのレプリカは赤子同然のはずなのに!!」
「さすが、ローレライの力を継ぐ者のレプリカだ!」

確かに、本来だったら、自分は立ち上がることなんて出来ないはずだった。
だが、自分を元に戻す前の記憶だあるため、立つことが出来たと思う。
まだ、研究者たちが騒いでいる。
それは、ルークには雑音みたいでとても煩く感じた。
すると、ルークの前に一人の男が近づいてきた。
その途端、騒いでいた研究者たちは黙った。
その男は、マロンペーストの髪を一つに結んでいる。
ルークは、一目でヴァンだとわかった。
ヴァンはルークに優しく微笑んだ。

「怖がることはない」

ヴァンはルークにしか聞こえないような小さな声で言った。

「…………」

ルークは喋らなかった。
もちろん、喋ることは出来たがまた騒がれるのが嫌だったから。

「私はお前の助けが必要だ」

ヴァンはルークが喋らないと思ったのか、そのまま話を続けた。
その口調はとても優しく心地よく聞こえた。

「この世界は預言(スコア)に囚われている。だから、私は預言(スコア)に囚われない世界にしたい」

ヴァンの計画。
この世からオリジナルをなくし、レプリカの世界を創り出す。
それは、あまりにも無謀な計画だ。

「その為にお前の力。超振動(ちょうしんどう)が必要なんだ。協力してくれないか」

ヴァンはルークに手を差し伸べた。

──────違う。

師匠(せんせい)が本当に必要としているのは、アッシュだ。
師匠(せんせい)にとって、俺はアッシュを生かす為だけに作られた代用品にしか過ぎないのだ。
そうと、わかっていながら、ルークはヴァンの手を取った。
師匠(せんせい)が俺のことをどう思っていてもいい、俺は俺なんだ。
ルークがヴァンの手を取ると、ヴァンは微笑んだ。

「いい子だ。…………ディスト」

ヴァンが向いた方を見るとそこには、一人掛けのソファに座った白に等しい銀髪を肩まで垂らした男がいた。
それは間違いなく、《死神ディスト》だった。

「ルークのことは任せたぞ」
「はいはい。ちゃんと、このことの記憶は譜術(ふじゅつ)で綺麗さっぱり消しときますよ」

少し投げやりな口調でディストは言って、奥の部屋へと消えて言った。
あの部屋に、アッシュがいる。
ルークはあの部屋へと行きたかったが、それはヴァンがルークの手を引っ張り阻止した。

「……では、いこうか」

ヴァンはルークの手を引き歩き出す。

「…………そう言えば、お前に名前を付けねばいけないな。名がないとお前を呼べない」

ヴァンは歩きながら話し、考え込む。

「……よし、お前の名は今日から『アッシュ』だ」

アッシュ。
その意味は、『聖なる焔の燃えかす』。
この瞬間、ルークはアッシュへと生まれ変わった。
























Rainシリーズ第1章第1譜でした!!
ルークがアッシュになる瞬間を書きました!!
第2譜からは、ルーク→アッシュ、アッシュ→ルークとして書きます。
なんか、書いてる途中で混乱しそうです;
実際そうならないように頑張ります!!


H.19 1/30



次へ